Slang Dictionary
rock
ロック
まず結論
rock は意味の幅がとても広い語です。動詞なら「沸かせる」「着こなす」、名詞なら「宝石」や「クラックの塊」になります。
rock the mic、rock the crowd はライブで客を盛り上げること、rock a chain は鎖のネックレスを身につけることです。
名詞の rock は、石っぽい見た目からダイヤとクラック・コカインの両方を指すので、前後の語で判断します。
動詞の rock は「揺らす」から
rock の動詞の芯は「揺らす」です。そこから、音楽で場を揺らす、つまり客を沸かせるという意味が出てきました。
rock the mic、rock the party、rock the spot は、どれも「その場をラップで盛り上げる」という自慢の決まり文句です。
身につける rock
rock にはもうひとつ、「(服やアクセサリーを)堂々と身につける」という意味があります。Wiktionary はこれを「スタイルよく着こなす」という語義として載せています。
I rock Timbs. なら「ティンバーランドのブーツを履いてる」くらいの軽さで、wear より自分のスタイルとして選んでいる感じが出ます。
名詞の rock は光るものか、売るものか
名詞の rock は、口語ではダイヤなどの宝石を指します。指輪の大きな石を a big rock と言うのは、ヒップホップに限らない言い方です。
一方、ストリートの文脈では crack cocaine の結晶の塊も rock と呼ばれます。sell rocks、crack rock と出てきたら、こちらの意味です。
語源と背景
動詞の rock は古英語の「揺らす」にさかのぼり、名詞の rock(岩)とはもともと別の語です。英語ではたまたま同じ綴りに重なりました。
音楽で場を揺らすという発想は rock and roll という言葉にも見えます。ヒップホップの rock the mic も、同じ「揺らす」から来た言い方と考えるのが自然です。
名詞の rock が宝石を指すのは口語として古くからあり、Wiktionary は The Notorious B.I.G. の歌詞を用例に挙げています。
クラック・コカインを rock と呼ぶのは、加工後の塊が小石のように見えるためだと Wikipedia は説明しています。
例文
例文は意味と使い方を示すための解説用の作例で、実際の歌詞の引用ではありません。歌詞の引用は「曲での使われ方」に載せています。
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1.They rocked the crowd from start to finish.
最初から最後まで客を沸かせっぱなしだった。
rock the crowd はライブの出来をほめる定番。the house や the party に替えても同じ意味です。
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2.He's been rocking the same jacket all winter.
あいつ、冬じゅう同じジャケットを着てる。
身につける rock。少しからかう調子でも、ほめる調子でも使えます。
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3.You can really rock that color.
その色、すごく似合ってる。
rock + 服や色で「着こなせている」というほめ言葉になります。
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4.Did you see the rock on her finger?
彼女の指の石、見た?
婚約指輪の大きなダイヤを話題にするときの、ごく日常的な言い方です。
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5.The DJ came out and rocked the party.
DJ が出てきてパーティーを盛り上げた。
主語は DJ でもラッパーでもかまいません。場の空気を動かした人が主語になります。
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6.The police found rocks hidden in his sock.
警察は靴下に隠されたクラックを見つけた。
ニュースや犯罪ドラマで出てくる rock はこちらの意味。複数形で小分けにした塊を指します。
この曲ではこう使われていた
解析に使ったヒップホップ約440曲の歌詞のうち、rock を含む曲は135曲で、16人中16人のラッパーに出てきました。Aesop Rock や Ghostface Killah の曲に特に多く出てきます。出現数の多い順に並べると、内訳はAesop Rock 30曲、Ghostface Killah 13曲、Megan Thee Stallion 12曲、Kool Keith 10曲、Kool G Rap 9曲です。
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Kool G Rap 「Rhyme Tyme」
"I could rock in a club"
クラブで客を沸かせられる、という腕前の自慢です。電球ひとつの薄暗いクラブでも、と続けて、舞台を選ばない強さを誇っています。
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Ghostface Killah 「Daytona 500」
"we came to rock the spot"
その場を盛り上げに来た、という宣言です。rock the spot はライブやパーティーに乗り込むときの典型的な言い方です。
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Ghostface Killah 「One」
"See Daddy rock a wristful"
手首いっぱいに宝飾品を着けている姿を描いた一節です。身につける rock と、見せびらかす態度がひとつになっています。
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Ghostface Killah 「Back Like That」
"that rock on your finger"
指にはめた宝石、つまり指輪の石を指す名詞の rock です。贈り物として渡す場面なので、ダイヤのような石と読むのが自然です。
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GZA 「Hip Hop Fury」
"crumbled up like crack rock"
相手をクラックの塊のように砕いてやる、というたとえです。crack と並んでいるので、名詞の rock がドラッグの意味だとすぐにわかります。
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Black Thought 「Streets」
"from a rock boy to a rock star"
同じ rock を二つの意味で使い分けた一節です。前半の rock boy はクラックを売る少年とも読めて、そこからロックスター級の成功へ変わったという流れになります。
似た表現との違い
- iceダイヤ・宝飾品
- ice は宝石のきらめき全体を言う語。rock は石ひとつひとつの大きさや存在感に目が行く言い方です。
- wear身につける
- wear は事実を言うだけの中立的な動詞。rock には「キマって見える」という評価が乗ります。
- crackクラック・コカイン
- crack はドラッグの種類の名前。rock はその一粒、一塊を数える言い方として使われます。
- hype盛り上がる・盛り上げる
- hype は盛り上がった状態や気分を言う語。rock は誰かが場を沸かせる行為のほうに焦点があります。
使うときの注意
- rock をすべて「ロック音楽」と読むと、ラップの自慢やファッションの話を取り違えます。
- 名詞の rock がダイヤかクラックかは、指輪や首元の話か、売る・隠すの話かで判断します。
- rock a chain のような身につける rock は、ほめ言葉として相手に使えますが、皮肉っぽく言うと「よくそれ着るね」の意味にもなります。
よくある質問
- rock the mic はどういう意味ですか。
- マイクを握って場を沸かせる、つまり見事にラップするという意味です。ラッパーの自慢の決まり文句です。
- rock と wear はどう違いますか。
- どちらも「身につける」ですが、rock には「似合っている、イケている」という気持ちが乗ります。
- rocks と複数形で言うとどうなりますか。
- 宝石なら複数の石、ドラッグなら小分けにしたクラックを指します。on the rocks(氷入り)のような、まったく別の熟語もあります。