Slang Dictionary
crew
クルー
まず結論
crew は「いつも一緒に動く仲間の集まり」です。友達グループというより、同じ目的でつるむチームに近い響きがあります。
ヒップホップでは、ラップやブレイクダンス、グラフィティのグループ名にも使われてきました。
my crew、my whole crew、your crew の形が多く、自分側か相手側かで、誇りにも挑発にもなります。
仲間でもあり、チームでもある
crew の芯にあるのは「同じ持ち場を一緒に回す人たち」という感覚です。船や撮影現場のスタッフを crew と呼ぶのと、根っこは同じです。
そのためヒップホップの crew には、ただ仲がいいだけでなく、一緒に何かをやってきた連帯感が乗ります。
homie が一人ひとりとの関係を言う語なら、crew はその人たちをまとめた単位です。
グループ名としての Crew
ヒップホップ初期には、名前に Crew を入れたグループがたくさんありました。1977年にブロンクスで結成されたブレイクダンスの Rock Steady Crew は、その代表格です。
ラップのグループ、DJ とダンサーの集まり、グラフィティのチームまで、表現の種類を問わずに使えたのが crew という語の強みでした。
Rock Steady Crew は1981年、リンカーン・センターでブルックリンの Dynamic Rockers とバトルをしています。The Source の記事で、Crazy Legs はこれをヒップホップが初めてリンカーン・センターに立った出来事だと語っています。
my crew と your crew の温度差
my whole crew は「うちの連中みんな」で、仲間全体を背負って胸を張る言い方です。
逆に your crew は、相手本人だけでなく取り巻きまでまとめて見下すときに出てきます。バトルやディスでは、こちらの使い方がよく目立ちます。
語源と背景
Wiktionary によると、crew は古フランス語で「増える」を意味する動詞の過去分詞にさかのぼります。英語では古くから、何かの仕事のために集まった一団を指してきました。
船の乗組員という意味が一般的になったあと、仕事仲間、さらにはただの遊び仲間にも使われるようになりました。
Wiktionary はヒップホップやブレイクダンスのグループを指す用法を独立した語義として載せていて、用例には1988年のロサンゼルス・タイムズの記事が引かれています。
いつからヒップホップの中で使われ始めたかを特定した資料は見つかりませんでしたが、1970年代後半のブロンクスですでにグループ名として定着していたことは、Rock Steady Crew の例からわかります。
例文
例文は意味と使い方を示すための解説用の作例で、実際の歌詞の引用ではありません。歌詞の引用は「曲での使われ方」に載せています。
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1.Me and my crew are heading downtown tonight.
今夜はいつもの連中でダウンタウンに行く。
my crew は「自分がいつもつるんでいるメンバー」。人数や顔ぶれをいちいち言わずに済む便利な言い方です。
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2.She came through with her whole crew.
あの子、仲間を全員連れて来たよ。
whole crew で「一人残らず」。にぎやかに大勢で現れた場面でよく使います。
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3.Which crew are you with?
どこのクルー?
ダンスやグラフィティの現場で、所属を聞くときの言い方です。
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4.Our crew has been painting together since high school.
うちのクルーは高校のころから一緒に描いてる。
一緒に活動してきた時間の長さを語ると、crew の連帯感がよく出ます。
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5.Don't bring your crew into this, it's between us.
仲間を巻き込むなよ、これは俺たち二人の問題だ。
もめごとに取り巻きを連れてくるな、という言い方。your crew が少しとげのある響きになります。
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6.The film crew packed up before sunset.
撮影スタッフは日が沈む前に撤収した。
こちらは一般的な「スタッフ、乗組員」の意味。スラングではない普通の英語です。
この曲ではこう使われていた
解析に使ったヒップホップ約440曲の歌詞のうち、crew を含む曲は46曲で、16人中14人のラッパーに出てきました。Nas や Kool G Rap の曲に特に多く出てきます。出現数の多い順に並べると、内訳はNas 12曲、Kool G Rap 5曲、Kool Keith 5曲、MF DOOM 5曲、Ghostface Killah 4曲です。
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Rakim 「What's Going On?」
"now I got a crew to run with"
一緒に動ける仲間ができた、という一節です。run with は「つるむ」で、crew と組み合わさると行動を共にする感じが強く出ます。
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Kool G Rap 「Road to the Riches」
"Loyal members in a crew"
忠実なメンバーで固めた crew。裏の稼業を一緒に回す組織に近い意味で使われていて、crew の「持ち場を共有する集団」という性格がよく出ています。
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Nas 「Halftime」
"To the Queensbridge crew"
地元クイーンズブリッジの仲間たちに向けたシャウトアウトです。地名と組み合わせて、出身地ごと背負う言い方になっています。
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Nas 「Memory Lane (Sittin' In Da Park)」
"my deceased crew on memory lane"
亡くなった仲間に酒を注ぐ場面の crew です。にぎやかな仲間というより、もう会えない連中への弔いの言葉として使われています。
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Ghostface Killah 「Wu Banga 101」
"we build like Crash Crew"
オールドスクール期のグループ Crash Crew の名前を借りた一節です。グループ名に Crew が付くのが当たり前だった時代への目配せとして読めます。
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Kool G Rap 「Ill Street Blues」
"we're not a lazy crew"
自分たちは怠け者の集まりじゃない、という言い方です。crew を主語にして、チームとしての働きぶりを誇っています。
似た表現との違い
- homie地元の仲間
- homie は一人ひとりとの関係を指す語。crew はその仲間たちをまとめた集団を指します。
- posse取り巻き・一派
- もとは保安官が集めた追跡隊のこと。crew より、頭数をそろえて乗り込む感じが強めです。
- clique仲良しグループ
- 内輪で固まった排他的なグループ。crew のような「一緒に何かをやる」ニュアンスは薄めです。
- squadチーム・仲間
- もとは軍の分隊。仲間を指す点は同じですが、crew よりも新しめの言い方に聞こえます。
使うときの注意
- crew は集団を指す語なので、仲間の一人を指して a crew とは言いません。一人なら a member of my crew や my homie です。
- 仕事の文脈では普通に「スタッフ」の意味なので、ニュースや映画のクレジットで出てきてもスラングとは限りません。
- your crew は言い方次第で相手の仲間をまとめて見下す響きになります。軽口のつもりでも、初対面ではとげが出ることがあります。
よくある質問
- crew は単数扱いですか、複数扱いですか。
- アメリカ英語ではふつう単数扱いで My crew is coming. です。メンバー一人ひとりを意識するときは複数扱いにすることもあります。
- 日本語の「クルー」と同じ意味ですか。
- ほぼ同じです。日本のダンスやラップの世界でもクルーという言い方が定着していて、英語の使い方をそのまま持ち込んだ形です。
- crew と gang は違いますか。
- gang は犯罪組織や不良グループを強く連想させます。crew は仲間やチーム全般に使える、より中立的な語です。