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Twinz (Deep Cover 98) 和訳・意味・スラング解説 | Big Pun feat. Fat Joe

アーティスト
Big Pun feat. Fat Joe
リリース年
1998
プロデューサー
Big Pun & Fat Joe (orig. Dr. Dre)
収録アルバム
Capital Punishment
エリア
NY
BPM
92
サンプル元
Dr. Dre & Snoop Dogg "Deep Cover" (1992)

この記事の見どころ

  1. 01 「Dead in the middle of Little Italy...」——全31音節・8つの同音連鎖という人類史上最も高密度なラインがスタジオの口慣らしから生まれた奇跡の誕生秘話
  2. 02 Dr. DreとSnoop Doggの西海岸クラシック「Deep Cover」をブロンクスのマフィオソ流儀で再構築——Snoop自身がMVにカメオ出演し東西融和を体現
  3. 03 ラテン系ソロラッパー史上初のプラチナ認定——ブロンクスのプエルトリコ系としてメインストリームを征服したBig Punの唯一無二のレガシー
解説

■この曲の意味(要約)

ブロンクス出身のプエルトリコ系ラッパー、Big PunとFat Joeが、Dr. DreとSnoop Doggの1992年西海岸クラシック「Deep Cover」のビートを丸ごと流用し、東海岸マフィオソ・ラップとして完全再構築した楽曲。ゴッドファーザー・ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカといったマフィア映画の美学を纏いながら、ブロンクスのストリートの冷酷なリアリティを語る。Big Punのラップ技術の到達点「Little Italy」ラインは、スタジオの口慣らしから偶然生まれた歴史的パンチラインとして語り継がれる。

■概要

1997年プロモ用12インチ先行リリース後、1998年デビューアルバム『Capital Punishment』に収録。Loud Recordsからリリースされた本作はビルボード200最高5位・R&B/Hip-Hopアルバムチャート1位を記録。Big Punはラテン系ソロラッパーとして史上初のRIAAプラチナ認定(100万枚超)を獲得した。プロデューサーはBig PunとFat Joe(Terror Squad Productions)だが、原曲はDr. Dre・Snoop Doggy Dogg・C. Wolfeが作曲した「Deep Cover」(1992)のトラックを実質流用。Snoop DoggはMVに本人出演し東西の融和を象徴した。

■導入(時代背景)

1997〜98年はヒップホップにとって最大の転換期だった。TupacとBiggieの相次ぐ銃撃死(1996・1997年)が東西抗争の悲劇的な終幕を告げ、シーン全体が融和へ向かい始めた時期。ブロンクス出身のBig Punがヒップホップ発祥の地から世界へ名乗りを上げ、しかも西海岸の象徴的アンセムを深いリスペクトで再構築したこの曲は、まさにその時代の証言であり、治癒の音楽だった。ラテン系コミュニティにとっては「自分たちもメインストリームを支配できる」という歴史的な希望の音でもあった。

Intro · Fat Joe

I support Pun in anything he does, anything he loves
A brother from another mother sent from the above
A thug n***a just like me, one of the best, might be
Even better, leavin' n***as kneelin' on they right knee
Spike Lee couldn't paint a better picture
You small change, I'm blowin' out your brains, gettin' richer
Hit you with the MAC (MAC), smack your b****, n***a, what?
You gettin' stuck – my trigger finger's itchy as a f***
Truck jewels (Jewels), cruisin' in the Land, bumpin' "Cash Rules"
Last crew to want it caught a hundred tryna pass through
That's true So who the next to get it?
T.S. — the best that did it
Get it off your chest, kid, admit it, and it's…

どんなことをしていてもPunを支持する、彼が愛するものすべてを
別の母から生まれた兄弟、天から遣わされた存在
俺と同じサグ野郎、最高の一人かもしれない
それ以上かもな、奴らを右膝をついて跪かせてきた
スパイク・リーだってこれより良い絵を描けない
お前は小銭、俺はお前の脳みそを吹き飛ばしながら金持ちになる
MAC(マシンガン)でぶん殴る、お前のビッチを張り倒す、どうだ?
お前は詰んだ——俺の引き金を引く指は痒くてしょうがない
ランドローバーを乗り回し、「Cash Rules」(CREAM)をかけながら宝石を見せびらかす
うちのシマを荒らそうとした最後のクルーは百発食らって通り過ぎた
本当のことだ、次にやられるのは誰だ?
T.S.(テラー・スクワッド)——最高の連中がやり遂げた
胸のうちを吐き出せ、坊主、認めちまえ、それが…

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Fat Joeによるイントロ。Big PunへのリスペクトとTerror Squad(T.S.)の力を誇示しながら、楽曲の世界観を設定する。「Spike Lee couldn't paint a better picture」でこの物語の映像的鮮明さを宣言。「Cash Rules」はWu-Tang ClanのC.R.E.A.M.への言及。

Verse 1 · Big Pun

I know these dirty cops that'll get us in
If we murder some wop

イタリア系マフィアを消してくれたら
俺たちを中に入れてくれる汚職警官を知ってるぜ

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「wop」はイタリア系アメリカ人への蔑称。マフィオソ・ラップとしての世界観をいきなり確立する一行。「汚職警官と手を結んでイタリア系マフィアを始末する」という冷酷な犯罪者視点がすぐさまリスナーを1990年代ブロンクスの裏社会へ引き込む。

Ready for war Joe, how you wanna blow they spot?

戦争の準備はできてるぜ、ジョー——
奴らのアジトをどうやって急襲する?

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「blow they spot」は「blow the spot(縄張りを急襲・破壊する)」のストリート文法。Fat Joeに作戦を問いかける形式で、二人の連帯と緊迫感を一行で提示する。

Meet me at Vito's with Noodles,
We'll do this dude while he's slurpin' spaghetti

ヌードルスとヴィトーの店で落ち合おう——
ターゲットがスパゲッティをすすってる間に始末する

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「ヴィトー」は映画『ゴッドファーザー』のヴィトー・コルレオーネ、「ヌードルス」はロバート・デ・ニーロが演じた映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』の主人公。マフィア映画の固有名詞を犯罪計画の会話に織り込む映画的センス。

Dead in the middle of Little Italy,
Little did we know that we riddled two middlemen who didn't do diddly

リトル・イタリーのど真ん中で死体が転がる——
何もしていない2人の仲介人を、俺たちがハチの巣にしたとは誰も知るまい

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ヒップホップ史上最高峰と称される31音節のパンチライン。「middle / Little / Italy / little / riddled / middlemen / diddly」と短い「i」音と「l」子音が機関銃のように連射される。「riddled(ハチの巣にした)」は「尋問した」という意味との多義性も持つ。ターゲットを間違えて無関係な仲介人を始末したという黒いユーモアが、言語芸術と暴力描写を同時に成立させる奇跡のライン。Fat Joeに懇願され嫌々録音したというエピソードも有名。

Hook · Big Pun & Fat Joe

Yeah – and you don't stop
Twenty-shot Glock with the cop-killers, fill 'em to the top
Yeah – and you don't stop
Joey cracks the rock, and Big Pun keeps the guns cocked
Yeah – and you don't stop
We'll make it hot, n***a, what? Bring it, I'll blow your whole spot
Yeah – and you don't stop
It's still 1-8-7 on an undercover cop

そうだ——止まらない
20発入りグロックに警官殺し(徹甲弾)を上まで詰め込んでる
そうだ——止まらない
ジョーイが岩(コカイン)を割り、ビッグ・プンが銃を構えてる
そうだ——止まらない
俺たちはアツくする、どうだ、かかってこい、お前のシマを吹き飛ばしてやる
そうだ——止まらない
今でも変わらない——覆面警官を殺す(187)

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「187」はカリフォルニア州刑法第187条(殺人罪)のコード。Dr. DreとSnoop Doggのオリジナル「Deep Cover」(1992)のサビをそのまま継承し、「*still*(今でも)」という一語を加えることで「東海岸の俺たちも同じ姿勢だ」という反権力宣言を現在形で再提示。Fat Joeの「Yeah – and you don't stop」コールがビートと絡み合い、Big Punの「187」ラインをさらに強調する。

Verse 2 · Big Pun

F*** the police, I squeeze first, make 'em eat dirt
Take 'em feet-first through the morgue, then lodge 'em in the deep earth
The street's cursed, the First Amendment's culturally biased
Supposed to supply us with rights, tonight, I hold my rosaries tight as I can
I'm one man against the world
Just me and my girl — Black Pearl Latina, más fina, but keeps it real
You know the deal, we steal from the rich and keep it
Peep it, it's no secret, watch me and Joe go back and forth and freak it

警察なんてクソ食らえ、俺が先に撃って、奴らに土を食わせる
足から先に霊安室に運んで、深い土の中に埋めてやる
この街は呪われてる、修正第一条(表現の自由)は文化的偏見がある
俺たちに権利を与えるはずなのに、今夜、俺はロザリオをできる限りきつく握りしめる
俺は世界を相手に一人で戦っている
俺と彼女だけ——ブラック・パール、ラテン系、más fina(最高に上品)だが現実を保つ
分かってるだろ、俺たちは金持ちから盗んでそれを手元に置く
見てろ、秘密じゃない、俺とジョーが交互に攻めてフリークしていくのを

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Big Punによる第2ヴァース。反警察の姿勢を示しながら、「Black Pearl Latina, más fina」でプエルトリコ系ラテン文化への誇りを表明する。「Más fina(最も上品な)」はスペイン語。「Robin Hood的」な「金持ちから盗む」モチーフが東海岸マフィオソの美学を確立する。

Creep with me, as I cruise in my Bimmer
All the kids in the ghetto call me Don Cartagena
Kickin' ass as I blast off heat
And, you never see me talk to police
So, you should know that I really don't care
Pull you by the hair, slit your throat, and I'll leave you right there
So beware — it's rare that n***as want beef
Big Pun — speak, and let these motherf**kers know how we run the streets

俺とこっそり行こうぜ、BMW(ビマー)でクルーズしながら
ゲットーのガキたちは俺をドン・カルタヘナと呼ぶ
ケツを蹴り上げながら熱を撃ち放つ
俺が警察と話すのを見ることは絶対にない
だから分かるだろ、俺は本当に気にしないんだ
お前の髪を掴み、喉をかき切って、その場に放置する
気をつけろ——奴らがビーフを求めることはめったにない
ビッグ・プン——話せ、このくそ野郎どもに俺たちがどうやってストリートを支配しているかを教えてやれ

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「Bimmer」はBMWの愛称。「Don Cartagena」はコロンビアの港湾都市カルタヘナとマフィアのドン(ボス)を組み合わせたFat Joeのオルターエゴ。最後の「Big Pun — speak」でFat JoeがPunに声をかけ、次のバース(Fat Joe)へのバトンタッチを演出する。

Verse 6 · Fat Joe

Creep with me, as I cruise in my Bimmer
All the kids in the ghetto call me Don Cartagena

俺と一緒に忍び寄れ、Bimmer(BMW)をクルーズしながら
ゲットーのガキたちは全員俺をドン・カルタヘナと呼ぶ

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「Bimmer」はBMWの愛称。「Don Cartagena」はコロンビアの港湾都市カルタヘナとマフィアのドン(ボス)を組み合わせたFat Joeのオルターエゴ。後に自身のアルバムタイトルにもなる。

Kickin' ass as I blast off heat
And, you never see me talk to police

熱を吹き飛ばしながらケツを蹴り上げる
そして俺が警察と話すのを見ることは絶対ない

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「never talk to police(警察に話さない)」はストリートの絶対的掟。スネッチング(密告)はギャングスタ文化で最大の禁忌。

So, you should know that I really don't care
Pull you by the hair, slit your throat, and I'll leave you right there

だから俺が本当に気にしないことを知るべきだ
髪をつかんで、喉を切り裂いて、そこに置き去りにする

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ハードコア・ラップ定番の暴力描写。映画「スカーフェイス」的な残酷さで脅迫のトーンを極限まで引き上げる。

So beware — it's rare that n***as want beef
Big Pun — speak, and let these motherf***ers know how we run the streets

だから注意しろ——俺とビーフしたがる奴は滅多にいない
Big Pun——語れ、このmotherF***erどもに俺たちのストリートの走り方を教えてやれ

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Fat JoeからBig Punへのバトンタッチ。「it's rare(滅多にいない)」は恐怖による抑止力の誇示。2人の呼応スタイルがこの曲の最大の特徴。

F*** peace, I run the streets deep with no compassion
Puerto Ricans known for slashin'
Catchin' n***as while they sleepin', no relaxin'
Keep your eyes open, sharp reflexes
Three TEC's is in the Jeep Lexus just in case police test us
Street professors, Terror Squad — ghetto scholars
Full-A-Clips mob inflicts the fear of God when the metal hollers

平和なんてクソ、俺は深く容赦なくストリートを走る
プエルトリカンは切ることで知られてる
奴らが眠っている間に捕まえる、休む暇なし
目を開けとけ、反射神経は鋭く
警察が試してきた時のために、ジープのレクサスにTEC(銃)が3丁入ってる
ストリートの教授たち、テラー・スクワッド——ゲットーの学者
フル弾倉のモブが、金属(銃)が叫ぶとき神の恐怖をもたらす

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Fat Joeの本番。「Puerto Ricans known for slashin'」でラテン系、特にプエルトリコ系のストリートでの評判を誇示する。「Jeep Lexus」はLexus LX450(当時の高級SUV)。「Street professors, ghetto scholars」でテラー・スクワッドを「ゲットーの知識人」として位置づける皮肉。

Better acknowledge or get knocked down, until I'm locked and shot down
Heather B. couldn't make me put my Glock down
We lock towns, like rounds in the chamber
Boogie Down major like Nine, I bust mine every time
Plus, I'm the crime boss of New York
Where we taught to walk the walk, all my n***as carry chalk
And stalk our prey like a predator
Whoever want it — go and get it, set it, baby, and I'ma bury ya
So remember the Squad that I'm reppin'
I fill a clip of my weapon and punish n***as 'til it's Armageddon

認めろ、でなければ叩きのめされる、俺が閉じ込められ撃たれるまで
Heather B.(ラッパー)でも俺のグロックを下ろさせることはできない
俺たちは街を封鎖する、薬室に込められた弾のように
Boogie Downのメジャー、ナインのように、俺は毎回自分のものをぶっ放す
さらに、俺はニューヨークのクライム・ボスだ
歩き方を叩き込まれた場所、俺の仲間全員がチョーク(白墨/武器)を持ち歩く
そして獲物を捕食者のように追い詰める
欲しいなら——行って手に入れろ、セットしろ、ベイビー、お前を埋めてやる
だから俺が代表するスクワッドを覚えておけ
俺は武器に弾倉を詰め込んで、世界の終わり(アルマゲドン)が来るまで奴らを懲らしめる

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「Heather B.」はHeather B. Gardnerで、Boogie Down Productions(BDP)のフィメール・ラッパー。「Boogie Down major like Nine」はBDPのKRS-OneとDJ Scott La Rockへの敬意。「Carry chalk(チョークを持ち歩く)」は「殺人の証拠(犯行現場で描く輪郭線)」の暗喩であり、常に危険な状況にいることの比喩。「Armageddon」で楽曲の終末的テンションを最高点まで引き上げる。

■重要スラング・用語

カリフォルニア州刑法第187条(殺人罪)のコード番号。ヒップホップで「殺す」の代名詞として定着。 イタリア系アメリカ人への蔑称。楽曲ではイタリア系マフィアを指す。 「blow the spot(縄張りを急襲・破壊する)」のストリート文法変形。敵のアジトを急襲すること。 短銃身(スナブノーズ)の.38口径リボルバー。隠し持ちやすく近距離暗殺向きの裏社会の定番武器。 プエルトリコ人の誇り高き自称。タイノ族の言語「Borikén(勇敢な貴人の土地)」に由来する。 「謎をかける・尋問する」と「銃弾でハチの巣にする」の二つの意味を持つ動詞。伝説のLittle Italyラインの多義的な核心語。

■文化的背景

マフィオソ・ラップの頂点

1990年代中盤〜後半の東海岸HHで隆盛したマフィオソ・ラップ(Kool G Rap、Raekwon、Nas、Biggie、Jay-Z)の系譜において、Big PunとFat Joeはイタリア系マフィア映画の美学——ゴッドファーザー、ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ、アンタッチャブル——をブロンクスのストリートに重ね合わせた。MVの冒頭でBig Punが理髪店で髭を剃られるシーンは映画『アンタッチャブル』のアル・カポネ(ロバート・デ・ニーロ)への直接オマージュ。

ラテン系の誇りとアイデンティティ

ヒップホップはブロンクスでアフリカ系とカリブ海系・ヒスパニック系が共同で創った文化だが、1990年代中盤までラテン系ソロラッパーのメインストリーム進出は稀だった。Big PunがCapital Punishmentでラテン系初のプラチナを獲得したことは、ゲットーで暮らす移民2世全体への巨大な希望の提示となった。

東西融和の象徴

TupacとBiggie死後の最緊張期、東海岸の2人が西海岸の象徴的アンセムを深いリスペクトで再構築し、Snoop Dog本人がMVにカメオ出演して「Punたちがあのビートを選んだ時点で本物のヒップホップへの敬意があった」と語ったことは、ヒップホップが再び一つの文化として融和していく歴史的マイルストーンだった。

■制作の裏側

「Little Italy」ラインはスタジオで録音前の口慣らし(tongue-twister)として Big Punが遊び半分で呟いていたもの。Fat Joeが「これは地球上で最もハードなシットだ。絶対にヴァースに入れろ」と猛烈に説得するも、Big Punは「頭がおかしいのか?笑われるに決まってる」と断固拒否。執拗な説得に折れ嫌々録音したところ、リスナーに度肝を抜かれ彼のキャリアを定義する一行となった。

Loud RecordsのSteve Rifkindは、Big Punのデモを聴いたことすらなかったが面談でそのポテンシャルを即座に見抜き、無名の新人に約2,500万円(当時のレート換算)の異例の契約を結んだ。

ビートはDr. Dre「Deep Cover」(1992)のトラックを実質流用。原曲はSly & The Family Stone「Sing a Simple Song」(1968)等を下敷きにDreが構築したG-Funkビート。東海岸のBig PunとFat Joeはこれを約92BPMのまま流用し、西海岸の太陽とは無縁の東海岸特有のダークな空気感へと変換することに成功した。

■評価とその後の影響

「Little Italy」ラインはラップ史上最も高密度な多音節ライムとして今も頻繁に引用される。Eminem、Nas、J. Coleをはじめ後世の無数のリリシストが「到達できない基準」として名を挙げた伝説のバー。テクニカルなラップと商業的成功が両立できることをBig Punが証明したことで「アンダーグラウンドでなければ深くない」という業界の固定観念は崩壊した。

2000年2月7日、Big Punは極度の肥満に起因する心不全で28歳にて急逝。ピーク時の体重は約317kgと報じられた。しかし彼が残した2年間の活動は——特にこの「Twinz」の31音節——四半世紀を経た現在も全く色褪せない。

日本では東京・渋谷の「Club HARLEM」で2004年に開催されたイベントパンフレットにTats Cru(NYのグラフィティチーム)によるBig Pun追悼壁画の写真が掲載され、日本のヒップホップコミュニティが彼の逝去を深く悼んでいたことが記録されている。Fat Joeは現在もBig Punをヒップホップ史上最高のリリシストの一人として世界中で伝え続けている。

アルバムを聴く

Big Pun - Capital Punishment

Capital Punishment

Big Pun · 1998 · Loud Records

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アーティストについて

Big Pun

South Bronx, New York · 1995–2000

本名Christopher Lee Rios(1971–2000)。ブロンクス出身のプエルトリコ系ラッパー。1998年デビューアルバム『Capital Punishment』でラテン系ソロラッパー史上初のRIAAプラチナ認定を獲得。複雑な多音節内部韻と映画的ストーリーテリングで「史上最も技術的なラッパー」のひとりに挙げられ続ける。Fat Joeが率いるTerror Squadの主要メンバー。2000年2月7日、28歳にて肥満に起因する心不全で急逝。