ストーリーの流れ — まず曲全体をつかむ
We Dat Niceは表面上はシンプルな自己宣言ですが、バースごとに違う神学的・政治的テーマが積み上がっていく構造を持っています。専門用語が頻出するので、先に曲全体の流れをつかんでおくと、次章の各解説で「今バースのどこにいるか」が見えやすくなります。
Verse 1(Wise Intelligent)は、支配層・権力者・社会の抑圧者を次々に並べていくカタログから始まります。
cave dwellers(洞窟住民=Five Percentの白人への呼称)に始まり、New World Order(陰謀論的な世界秩序)、エイズ陰謀論まで。1990年代コンシャスラップのレパートリーを一気に並べていきます。
そして後半、「俺たちはただのラッパーじゃない、黒人の状況を変えているんだ」という宣言でバースを閉じます。
Chorus / Hookは、曲のタイトルをそのまま音にした部分です。
「知識の光を輝かせる」という比喩から、「どんなMCも凍らせる、それくらいナイスだ」というバトルラップの自己評価まで。Five PercentでいうGod(神)としての自己認識と、MCとしての技量の自信が、ここで重なります。
Verse 2(Wise Intelligent)は神学的なバースです。
自身を「all eye seeing(全てを見る目)」=神として語り、イエス・キリストが黒人だったという黒人解放神学的なテーゼを、ヨハネの黙示録の引用で展開します。crackatalism(造語)やpolitricks(造語)、Ten Percentersという教義用語が登場する、濃密な2分間です。
Verse 3(Wise Intelligent)に、この曲で最も知られる一行があります。「G is for God, where did gangsta come from?」。
Gというアルファベットがギャングスタラップに横取りされたことへの問いかけです。
地球の質量(six sextillion tons)といった科学的な数値をリリックに織り込むSupreme Mathematics実践の場でもあります。最後は「この情報を家に持ち帰って、プラスの教訓にしろ」というPRT一流の教育的な締めくくりで終わります。
※批評・教育目的での引用です。全歌詞対訳は掲載せず、解説に必要な断片のみを使っています。