WAX&THINK
検索

Concrete Schoolyard 和訳・意味・スラング解説 | Jurassic 5

アーティスト
Jurassic 5
リリース年
1997
プロデューサー
Cut Chemist & DJ Nu-Mark
収録アルバム
Jurassic 5 EP
エリア
LA
BPM
97
サンプル元
Ike Turner "Getting Nasty" (1969)

この記事の見どころ

  1. 01 "Take it back to the concrete streets"——商業主義への反発とオールドスクール回帰
  2. 02 Chali 2naの多音節ライムが圧倒するVerse 3
  3. 03 "Not about the bills, that's not keeping it real"——金よりマイクへの誓い

元ネタ

解説

■この曲の意味(要約)

「コンクリートの路上に戻れ」——商業ラジオとフェイクMCが溢れる1990年代後半、Jurassic 5がオールドスクールのDJ・MC文化の根っこへの帰還を宣言した一曲。「金のためじゃない、マイク1本のためだ」という純粋なヒップホップ精神が4バースすべてに溢れる。Ike Turnerのファンクサンプルが乗せるGrooveと、プレイグラウンド(遊び場)の比喩が全篇のコアを成す。

■概要

1997年「Jurassic 5 EP」収録のシングルカット。Ike Turner「Getting Nasty」(1969年)をサンプリング。Rawkus Recordsの後援を受けた同EPはアンダーグラウンドHIPHOPシーンで絶大な評価を受け、後にExpand TeamとUNION配給でリリースされた「Jurassic 5」フルアルバム(1999年)に収録された。

■主なスラング・キーワード

concrete streets
コンクリートの路上——ヒップホップの起源であるストリートカルチャーの象徴。
playground tactics
遊び場の戦術——子供のような遊び心と自由さでラップすること。商業的なマーケティング戦略と対比。
rabbit in a hat tricks
帽子からウサギを出す手品——偽物・商業的なトリック。「俺たちは手品じゃない」という否定。
mic of steel
鋼鉄のマイク——一生をかけて捧げる武器としてのマイクの比喩。
Meadowlark Lemon
ハーレム・グローブトロッターズの伝説的選手——ゲームを支配しエンターテイメントに変えた人物。
Yul Brynner
映画「王様と私」「荒野の七人」の俳優——古典的な力強さの比喩。
Spinal Tap
映画「スパイナル・タップ」——「俺たちはそれよりもっと過去に戻る(take it back)」という比喩。

■歌詞和訳・解説

Verse 1

Now I'ma say this one time, boy, and that's my word
We rockin' shots and not fire through the Hindenburg

一度だけ言う、それが俺の言葉だ
俺たちはヒンデンブルクを突き抜けてショットを打つ、火じゃない

解説を見る
"Hindenburg"は1937年に爆発炎上した巨大飛行船——障害をものともしないという比喩。「一度だけ言う」という宣言で曲の重要性を高める。

The contribution is clear, you add water to bone
And get the Jurassic 5 on the microphone

貢献は明らか、骨に水を加えると
マイクにJurassic 5が立つ

解説を見る
"add water to bone"はJurassic(ジュラ紀)という名前に引っかけた比喩——骨(化石)に水を加えると恐竜が蘇る、つまりJ5が現れると。映画「ジュラシック・パーク」的なイメージ。

Now if you like the tone and how the harmony's done
And the sucka emcees die before they've begun

トーンとハーモニーの出来が気に入ったなら
そしてダメなMCたちが始まる前に死ぬなら

解説を見る
J5の特徴的な複数MCによるハーモニーへの言及。"sucka emcees"(偽物MC)への批判——始まる前から負けていると宣告。

Well, I'd like to know if you've got the notion
'Cause we're number one
I'm not trying to say my style is better than yours
I'm just on some other s**t

その感覚があるかどうか知りたい
俺たちがナンバーワンだから
お前より自分のスタイルが上だと言うつもりはない
ただ俺は別のものにいる

解説を見る
"I'm not trying to say my style is better...I'm just on some other s**t"——直接的な上下比較を避けながら「次元が違う」と示す巧みな言い回し。謙虚に見せながら実は最大の自信の表明。

I'm all about the beats and the lyrics
So when you hear it, you can feel it
The vibe is energized by the presence of my spirit
No interference, we persevere
The purpose is clear
We're here to leave your ear hurtin' severe

俺はビートと歌詞について全力だ
聞いたとき感じることができる
バイブは俺の精神の存在によってエネルギーを与えられる
干渉なし、俺たちは耐え続ける
目的は明確
俺たちはお前の耳を激しく痛くするためにここにいる

解説を見る
"hear it...feel it"の韻——音楽体験の身体的・精神的両面を結びつける。"ear hurtin' severe"は過激なリリックで耳が傷つくほどの衝撃という比喩。

You're lurking in fear
'Cause we take it back like Robin Loxley
Rockin' from countryside to spots where hard rocks be
I often wonder if these emcees even know how it feels
To dedicate they whole life to this mic of steel

お前は恐怖の中に潜んでいる
俺たちはRobin Loxleyのように取り戻すから
田舎からハードな場所まで揺らす
これらのMCたちが全ての人生をこの鋼鉄のマイクに捧げることがどんな感じか知っているか、よく思う

解説を見る
"Robin Loxley"はロビンフッドの本名——奪われたものを取り返すという意。"mic of steel"は一生をかけて握り続けるマイクを鋼鉄で表現——人生そのものを捧げるという献身。

It's not about the bills, that's not keeping it real
A lot of tight rappers out here ain't got no deals
We appeal to the brothers with flow finesse
'Cause it's the hundred-watt bloodshot Game of Death

金のことじゃない、それはリアルじゃない
ここには上手いラッパーがたくさんいるがディールを持っていない
俺たちはフロウの巧みさを持つ兄弟たちに訴える
なぜなら100ワットの充血した死のゲームだから

解説を見る
"not about the bills"——お金がリアルを定義しないという宣言。メジャーディールなしでも上手いラッパーがいることへの言及——アンダーグラウンドへのリスペクト。"Game of Death"はブルース・リーの遺作映画——命がけの戦いの比喩。

Chorus

So, uh, let's take it back to the concrete streets
Original beats from real live emcees
Playground tactics, no rabbit in a hat tricks
Just that classic rap s**t from Jurassic

コンクリートの路上に戻ろう
本物のライブMCからのオリジナルビート
プレイグラウンドの戦術、帽子からウサギを出す手品なし
Jurassicからのただのクラシックなラップ

解説を見る
曲のコア——「コンクリートの路上」はヒップホップ誕生の場所であるニューヨーク・ブロンクスのストリート。"playground tactics"は子供の遊び場での純粋な遊びの精神。"rabbit in a hat tricks"は商業的なマーケティングの手品。

Verse 2

Now I walk from Tranzania, earthquake Transylvania
And on the way, I kicked a hole through the Wall of China
Just to get the right blend
'Cause I'm schizophrenic of the pen
Wait a minute, I fell into the deep end

タンザニアから歩き、トランシルヴァニアを地震で揺らし
途中で万里の長城に穴を蹴り開けた
ちょうどいいブレンドを得るために
俺はペンの統合失調症者だから
ちょっと待て、俺は深みに落ちた

解説を見る
世界中を歩き障害を突破するという誇大妄想的な自己描写——MCとしての無限の力を表現。"schizophrenic of the pen"は書く衝動が止まらない精神状態を病的に表現した比喩。

You shouldn't have told me
The pyramids can hold me
So now a contest is what you owe me
Pull out your beats, pull out your cuts
Give us a mic (What up?), and we gon' tear s**t up

俺に言うべきじゃなかった
ピラミッドが俺を収容できる
だから今はコンテストが俺への借りだ
ビートを出せ、カットを出せ
マイクをくれ(どうした?)、俺たちはぶっ壊す

解説を見る
"The pyramids can hold me"——古代エジプトのピラミッドほどの偉大さを持つという誇示。"pull out your cuts"はDJがレコードのカットを出すこと——DJとMCの共同作業でバトルに挑む。

I'm on some old and forgotten
Sun up to sundown like picking cotton
The Nutty Professor science droppin'
Rockin' Robin's hood from New York to Compton
Me and my three sons, Jabari, Shakir, and Kahsum

俺は古くて忘れられたものにいる
日の出から日の入りまで綿を摘むように
ナッティ・プロフェッサーのサイエンスを落とす
ニューヨークからComptonまでRobin's Hoodを揺らす
俺と3人の息子、Jabari、Shakir、Kahsum

解説を見る
"Sun up to sundown like picking cotton"——奴隷制時代の労働の比喩。"Nutty Professor"は映画「ナッティ・プロフェッサー」(エディ・マーフィー)——知識を変形させる科学者の比喩。"Robin's hood"はロビンフッドの活動範囲——全国を股にかける。3人の息子は実際の子供たちか仲間の比喩。

Verse 3 · Chali 2na

Hey, I'm 2na-Fish from U-N-I-T-Y
Do or die, anti-Illuminati, why
Do the liquid from my vocals make the ghetto start swimmin'?

俺はU-N-I-T-Yからの2na-Fish
やるかやられるか、反イルミナティ、なぜ
俺のボーカルの液体はゲットーを泳がせるのか?

解説を見る
"U-N-I-T-Y"はQueen Latifah「U.N.I.T.Y.」(1993年)——女性・コミュニティの団結への尊重。"anti-Illuminati"は陰謀論的な権力構造への反発——当時のヒップホップシーンでの定番テーマ。"2na-Fish"=ツナ魚——自分のニックネームから「液体」「泳ぐ」イメージへの連想。

Forever winning, I'm in it like Meadowlark Lemon
I get goosebumps when the bassline thumps
A sucka emcee freestyle, he had mine for lunch

永遠に勝ち続け、Meadowlark Lemonのようにゲームにいる
ベースラインが鳴り響くと鳥肌が立つ
ダメなMCのフリースタイル、昼食に俺のを食べていた

解説を見る
Meadowlark Lemon(1932-2015)はハーレム・グローブトロッターズの「道化師王」——ゲームを完全に支配しエンタメに変えた伝説。"had mine for lunch"は俺のラインを盗用していたという意味——パクリへの批判。

Marc 7even get you open like an attaché
Briefcase, in this case, the victor is no way
Ah, ah, the tool spinners, cookin' a full dinner
Killin' the firstborn of lyrical Yul Brynners

Marc 7evenはアタッシェケースのようにお前を開く
このケースでは、勝者は存在しない
ツールスピナー(DJ)たちがフルコースを料理する
リリカルなYul Brynnerたちの初子を殺す

解説を見る
"open like an attaché"はアタッシェケース(書類入れ)を開く比喩——ライムでオーディエンスの心を開く。"tool spinners"はレコードを回すDJのこと。"Yul Brynner"(ユル・ブリンナー)はスキンヘッドの威圧的俳優——「リリカルYul Brynners」は威圧的なMCたちの比喩。

When is it the academy rattling your anatomy?
Gotta be J5 so kill all of your fake flattery
That'll be the day when labels pay our way
2na, what you say when emcees come to play?
Man fi dead, 'cause we take it back like Spinal Tap
Preparing your intellect before your final nap

アカデミーがお前の体を揺さぶるのはいつだ?
J5でなければならない、偽りの追従を全部殺せ
レーベルが俺たちの道を払う日が来る
2na、MCたちが来たとき何を言う?
人は死ぬ、俺たちはSpinal Tapのように取り戻すから
最後の眠りの前に知性を準備しておけ

解説を見る
"Man fi dead"はジャマイカのパトワ語で「人は死ぬ運命」——ダンスホールレゲエからの借用。"Spinal Tap"は映画「スパイナル・タップ」(ロックバンドのモキュメンタリー)——さらに「過去に戻る」パロディ。"final nap"は最後の眠り=死——知性を準備して死に臨めという哲学的締め。

Verse 4

Just got beef, huh, watch how I settle it
I'll f**k around and arrest your whole development
I'm eloquent when it comes to digital display
I'm ready for the world while you 'url off the Tanqueray

ビーフを持った、俺がどう決着つけるか見ろ
お前の成長全体を止めてやる
デジタルなパフォーマンスになると俺は雄弁だ
お前がTanqueray(ジン)で酔いつぶれている間、俺は世界に準備できている

解説を見る
"arrest your whole development"は麻薬捜査の「逮捕」と「発展を止める」の二重の意。"Tanqueray"はプレミアムジンブランド——飲んでいる間に俺は成長していると対比。

Tactics, my s**t's Jurassic 5
Fingers of death while you exhale and inhale
With a deep breath with my chop suey style
'Cause I'm a lyrical chef, I gets mines to the death

戦術、俺のシットはJurassic 5だ
お前が息を吸って吐く間、俺は死の指で
深呼吸してチャプスイスタイルで
俺はリリカルシェフだから、死ぬまで自分のものを取る

解説を見る
"chop suey style"は中華料理のチャプスイ——様々な食材を混ぜる多様なスタイルの比喩。"lyrical chef"はラップを料理に例えた定番比喩——自分の「皿」を命がけで提供する。

When I rhyme, I hit the designated area
I hope you got your shots, 'cause this is lyrical malaria
Spreadin', beheadin' fools with the punishment
I live in America, but f**k this government

ライムするとき、俺は指定エリアをヒットする
予防接種を打っておけよ、これはリリカルマラリアだから
広がり、刑罰でバカたちの首を切る
俺はアメリカに住んでいるが、この政府はくそくらえ

解説を見る
"lyrical malaria"——感染して広まる病気のようなライム。"f**k this government"——反権力・反政府的な政治的発言。1990年代後半の意識系ヒップホップが持つ社会批判の姿勢。

A hundred and fifty times over silk with lead
While y'all drink the Similac, my rhymes are breast-fed
No artificial nipples, I flip the real skills
I thought I told you once, I kick the lyrical windmills
And backspin Benedict strictly for my benefit
I step on toes when I flow, don't get offended
Come and get with it, comprehended when I kick it
I represent the real from the beginning to the end of it

鉛入りのシルクで150回
お前らがSimilac(人工ミルク)を飲む一方、俺のライムは母乳育ち
人工乳首なし、本物のスキルをひっくり返す
一度言ったと思うが、俺はリリカルな風車を蹴る
利益のためだけにバックスピンするBenedict
フローするとき踏みにじる、気分を害するな
ついてこい、俺が蹴ると理解できる
俺は最初から最後まで本物を代表する

解説を見る
"Similac vs breast-fed"——人工ミルク(商業ラップ)vs母乳(本物のヒップホップ)の対比。"lyrical windmills"はブレイクダンスのウィンドミル技——「言葉でウィンドミルを踏む」という詩的表現。"backspin Benedict"はDJのバックスピンとBenedict Arnold(裏切り者)を掛けた表現。

アーティストについて

Jurassic 5

Los Angeles, California · 1993–2007, 2013–

Chali 2na・Akil・Marc 7even・Zaakir(MC4名)とCut Chemist・DJ Nu-Mark(DJ2名)の6人組。1997年セルフタイトルEPで「アカペラハーモニー×ブーンバップ」という独自スタイルを確立し、Rawkus Records時代のアンダーグラウンドHHを牽引。DJ Premierに「Best Group Alive」と絶賛され、ターンテーブリズムとライブ感に溢れるパフォーマンスで高い評価を得た。2007年活動停止後、2013年に再結成。

同アーティストの記事