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93 'Til Infinity 和訳・意味・スラング解説 | Souls of Mischief

アーティスト
Souls of Mischief
リリース年
1993
プロデューサー
A-Plus
収録アルバム
93 'til Infinity
エリア
Oakland
BPM
103
サンプル元
Billy Cobham "Heather" (1974)

この記事の見どころ

  1. 01 Billy Cobham「Heather」(1974)のサックス——SP-1200の物理的制約をMacGyver的トリックで克服して生まれた浮遊感
  2. 02 殺人件数年間175件のオークランドで「チル」を歌う——暴力の時代に音楽で作った精神的な避難所
  3. 03 もとは「91 'Til Infinity」として高校生時代に制作——Pep Loveに譲渡後、Jive契約時に「取り返した」誕生秘話

元ネタ

解説

■この曲の意味(要約)

殺人件数年間175件というオークランドの現実を背景に、Souls of Mischiefが描いたのは「チル」の哲学だった。女に電話し、40オンスを飲み、映画を観て、仲間とインドを吸い、モールで買い物をする——それだけの日常。しかし、その日常を永遠に続けようという宣言「from '93 'til infinity」が、暴力に支配されたストリートで生き延びるための意志表明になる。Billy Cobhamの幽玄なジャズをA-PlusがSP-1200でチル空間に変換し、4人のMCがリレー形式でオークランドのバイブを刻む。

■概要

デビューアルバム『93 'til Infinity』(1993年)収録のタイトルトラック兼セカンドシングル。Jive Records/BMGより1993年2月13日リリース。Billboard Hot 100最高72位。プロデューサーA-PlusはDJ Premierの「Here Today, Gone Tomorrow」でBilly Cobhamの名を知り、オークランドのレコード店のバーゲンビンで『Crosswinds』(1974年)を発掘。収録曲「Heather」のMichael Breckerによるサックスをサンプリング。SP-1200の10秒制限を、33回転レコードを45回転で録り込んでピッチダウンする「MacGyver的トリック」で克服した。メンバー4人(Opio、A-Plus、Tajai、Phesto)がバース2つずつをリレーする構成で、9〜12日間の集中録音セッションで完成。

■主なスラング・キーワード

「永遠に」「無限に」——'93 'til infinity=1993年から永遠に。単なるスローガンを超えた、仲間との絆と音楽への信念の宣言。 リラックスしている、のんびりしている。「chilling」と同義。「maxin' and relaxin'」の短縮形。 タバコ、またはマリファナのシガレット。「stogie」の変形。Bay Areaスラング。 マリファナを詰めたシガー(Philies Bluntなどの葉巻の内葉を使用)。90年代HHで広く普及した喫煙スタイル。 もう一度タップで詳細 → 40オンスのマルト・リカー(麦酒)ボトル。Olde English 800やSt. Ides等。オークランド/Bay Areaのストリートカルチャーを象徴する飲み物。 リスペクト、評判、賞賛。「Proper Respect」の略。 女性を指すスラング(90年代West Coast)。 格好いい、素晴らしい、太い(量・質ともに豊か)。「Pretty Hot And Tempting」の頭字語とも。 インドア栽培の高品質マリファナ(Indoor weed)の略。Bay Areaで特に普及した呼称。 口説く、巧みに女性にアプローチすること。「マック(口説き上手)」という名詞でも使われる。 金(お金)。スラングで現金・報酬全般を指す。 ダメ、質が低い、イケていない。「kill all that wack s**t」=ダメなものを全部終わらせろ。

Intro — Tajai

Yo, what's up? This is Tajai of the mighty Souls of Mischief crew
I'm chillin' with my man Phesto, my man A-Plus

ヨー、調子どうだ? 偉大なるSouls of MischiefクルーのTajaiだ
仲間のPhesto、A-Plusとチルってる

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スタジオからの語りかけで曲が始まる。「mighty Souls of Mischief crew」という自己紹介は誇りと自信の表れ。「chillin'」はリラックスした状態を表すHHの基本語。

And my man Op', you know he's dope
But right now, y'know, we just maxin' in the studio

それと仲間のOp'(Opio)——あいつがヤバいのは知ってるよな
でも今は、スタジオでのんびりしてるだけだ

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「Op'」はOpioの愛称。「dope」は「優れた、ヤバい」のスラング。「maxin'」は「maxin' and relaxin'」の略でくつろいでいる状態。

We hailin' from East Oakland, California
And sometimes it gets a little hectic out there
But right now, yo, we gon' up you on how we just chill

俺たちはイースト・オークランド、カリフォルニア出身
外はたまに騒がしくなることもある
でも今は、俺たちがどうチルしてるか教えてやる

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「hailin' from」は「〜出身」を意味する表現。「hectic」はオークランドの暴力的な現実への婉曲な言及。それでも「we just chill」と締めるのがこの曲の核心的なスタンス。

Verse 1 — Opio

Dial the seven digits, call up Bridgette
Her man's a midget, plus she got friends, yo, I can dig it!

7桁をダイヤルして、Bridgetteに電話する
彼女の彼氏はチビで、しかも友達もいる——それはいいな!

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「seven digits」は当時の電話番号(市外局番なしの7桁)。「I can dig it」は「気に入った、理解できる」(ジャズ由来のスラング)。韻を踏む「digits / Bridgette / midget / dig it」はHHの職人技。

Here's a 40 — swig it! You know it's frigid
I got 'em chillin' in the cooler, break out the ruler

40オンス(ビール)だ——ぐいっとやれ!冷えてるのわかるだろ
クーラーで冷やしといた——定規(ruler)を出せ

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「40」は40オンスのマルト・リカーボトル(Bay Areaの象徴的な飲み物)。「frigid」は冷たい。「break out the ruler」は直訳「定規を出せ」だが、ここでは「どんだけ太いか測ろう」というジョイントの太さへの誇張表現。

Damn! That's the fattest stoge I ever seen
The weather's keen in Cali, gettin' weeded makes it feel like Maui

くそ!こんなに太いジョイントは見たことない
カリフォルニアの天気は最高で、草でキマったらマウイ島みたいな気分だ

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「stoge」は「stogie(シガー/ジョイント)」のBay Area変形スラング。「keen」は素晴らしい、完璧な。マウイ(ハワイ)は理想的なバカンス地——カリフォルニアのチルな天気と草の組み合わせがそのレベルだという誇張。

Now we feel the Good Vibrations
So many females, so much inspiration

今は「Good Vibrations」(いい波動)を感じてる
女があんなにいれば、インスピレーションもあふれる

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「Good Vibrations」はBeach Boysの1966年ヒット曲への参照——オークランドの4人組がビーチボーイズを引用するユーモアと余裕。「females」への視線がVerse全体のテーマ。

Verse 2 — A-Plus

I get inspired by the blunts too! (Too)
I'll front you (You), if you hang with a bunk crew (Chump)

俺もブラントで元気が出る!(俺も)
ダメなクルーとつるんでるなら、お前をフロントしてやる(チャンプ)

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「I'll front you」は「お前に当たる、つっかかる」の意。「bunk crew」はダメなクルー、質の低いグループ。括弧内の「Too」「You」「Chump」はコーラスメンバーのインタービーション——ライブ感を演出。

I roam the strip for bones to pick
When I find one, I'm gon' take her home and quickly do this

女をピックアップしようとストリップ(通り)を歩き回る
見つけたら、家に連れ帰ってすぐやることをやる

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「strip」は通り(繁華街の通り)。「bones to pick」は直訳「骨を選ぶ」だが、ここでは口説く相手を探すという意味でスラング的に使用。

I need not explain this (Nah!)
A-Plus is famous, so get the anus!

説明は不要だ(いらない!)
A-Plusは有名人——ケツでも蹴ってろ!

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「get the anus」は侮辱的な表現(ケツを向けろ)——A-Plusのコミカルで挑発的なキャラクターが表れたライン。深刻にならず笑いで締めるのがSouls of Mischiefスタイル。

Verse 3 — Tajai

Hey, Miss! Who's there? I'm through there
No time to do hair; the flick's at 8, so get straight

おい、ミス!誰だ?もう行くぞ
髪をセットする時間はない——映画は8時だ、準備しろ

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「flick」は映画(スラング)。「get straight」は準備する、整える。デートの流れをコミカルに描写——「急いで!」と急かすTajaiのキャラクターが見える。

You look great, let's grub now
A rubdown sounds flavor, later there's the theater

最高に見えるよ、メシ食おう
マッサージもいいな、後で映画館だ

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「grub」は食事(スラング)。「sounds flavor」は「いい感じだ」「それがいい」——「flavor」をコピュラとして使う90年代NYスタイルがWest Coastに波及した表現。典型的な90年代デートプランが描かれる。

We in the cut, the cinema was mediocre
Take her to the crib so I can stroke her

隅の席に座った、映画はまあまあだった
彼女を家に連れて帰って、俺のものにする

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「in the cut」は隅(目立たない場所)。「mediocre」という知的な単語をフロウに自然に組み込む技術はSouls of Mischiefの語彙力の高さを示す。「crib」は家。

Verse 4 — Phesto

Kids get broke for they skins when I'm in
Close range, I throws game at your dip like handball

俺が入ってくると、野郎どもは彼女のために金を使い果たす
近距離で、お前の女に俺のゲームを投げつける——ハンドボールみたいに

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「get broke for they skins」は彼女のためにお金を全部使う(skins=女性のスラング)。「throws game」はナンパのセリフ・口説き文句を使う。「dip」は女性のスラング。ハンドボールの比喩で「近距離攻撃」を表現。

'Cause the man's all that! All phat!
I'm D to chill from '93 'til

なぜなら俺はそれだ!全部ファット!
俺は'93からずっとチルする覚悟だ

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「all that」は「完璧な、最高な」——90年代のキーフレーズ。「D」はdown(準備ができている、覚悟がある)の略。この「'93 'til」がコーラスに自然につながる構造。

Chorus — Souls of Mischief

Yeah, this is how we chill from '93 'til
This is how we chill from '93 'til
This is how we chill from '93 'til
This is how we chill from '93 'til

そう、俺たちはこうやって'93からずっとチルする
こうやって'93からずっとチルする
こうやって'93からずっとチルする
こうやって'93からずっとチルする

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「'93 'til」の「'til」は「until infinity(無限まで)」が省略された形。「How we chill」——チルすることが彼らのアイデンティティの核心。シンプルなリフレインを何度も繰り返すことで、Billy Cobhamのループと一体化する。

Verse 5 — A-Plus

Huh! My black Timbs do me well
When I see a fool and he says he heard me tell

ハッ!俺の黒いTimberlandsが俺を際立たせる
バカなやつが俺のことを言いふらしてたと言ってくるとき

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「black Timbs」はTimberland(ティンバーランド)のブーツ——90年代East/West Coast HHのスタイルアイコン。「tell」は告げ口する、しゃべる。

Another person's busy-ness, I cause dizziness
Until you stop actin' like a silly b***h

他人のビジネスに首を突っ込む——俺はお前を目眩かせてやる
バカみたいな真似をやめるまで

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「busy-ness」は「business(他人の事情)」をわざと「busy(忙しい)」と掛けた語呂遊び。「cause dizziness」は「混乱させる、圧倒する」——A-Plusのラップで頭がぐるぐる回るという意味でも読める。

Verse 6 — Phesto

Yo, crews are jealous 'cause we get props
The cops wanna stop our fun, but the top

よ、クルーたちは俺たちがリスペクトをもらってるから嫉妬してる
警官は俺たちの楽しみを止めようとするが、頂点は

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「props」はリスペクトや評判。1993年オークランドでは警察の嫌がらせが日常的——「cops wanna stop our fun」はその現実への直接的な言及。しかし語調は落ち着いており、怒りより確信を示す。

Is where we're dwellin', swell and fat, no sleep
I work fit, and jerks get their hoes sweeped

俺たちが住んでる場所だ——でかくてファット、眠れない
俺はかっこよくキメて、間抜けどもはその女を奪われる

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「swell and fat」は豊かで最高な状態。「work fit」はファッションを決める(fit=コーディネート)。「hoes sweeped」は女性を奪われる——競争に勝利したことの表現。

Under their noses, this bro's quick
To hit blunts and flip once I'm chillin' 'cause my crew's close, kid

奴らの目の前で、この兄貴は速い
チルりながらブラントを吸ってフリップする——クルーが近くにいるから、kid

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「under their noses」は「奴らの目の前で」。「flip」はここでは創造的にラップする、即興で返す。「kid」は相手への呼びかけ(East Coastスラングがここでも使われている)。

Verse 7 — Tajai

I'm posted, most kids accept this as cool
I exit 'cause I'm an exception to the rule

俺は構えてる——ほとんどのやつはこれをクールと認める
俺は退場する——ルールの例外だから

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「posted」は警戒している、構えている(スラング)。「exception to the rule」——「ルール破り」は90年代ヒップホップのセルフイメージの定型句。普通の人間とは違うという誇りの表現。

I'm steppin' to the cool spots where crews flock
To snare a dip, or see where the s**t that's flam-bee

クルーが群がるクールなスポットへ向かう
女をゲットするか、盛り上がってる場所を探すか

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「steppin' to」は向かう、近づく。「snare a dip」は女性をゲットする(snare=罠にかける、dip=女性のスラング)。「flam-bee」はフランベ(料理用語)をスラング化——熱くて盛り上がっている場所のこと。

So I got tons of indo and go to the Owen's basement
My ace been fattenin' up tracks
Time to get prolific with the whiz, kid

だから大量のindoを用意して、Owenの地下室に行く
俺の相棒はずっとトラックを太らせてきた
ウィズキッドと一緒に多作になる時間だ

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「indo」は高品質マリファナ(indoor grown)。「ace」は最高の仲間、相棒。「fattenin' up tracks」はビートを豊かにする、トラックを仕上げる。「whiz kid」は才能ある若者——Hieroglyphicsクルーへの言及か。

Verse 8 — Opio

Greenbacks in stacks, don't even ask who got the fat stacks
We can max pumpin' phat tracks

紙幣の束——誰がデカい束を持ってるか聞くな
ファットなトラックを流しながら最大限楽しめる

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「greenbacks」はドル紙幣(緑色のため)。「fat stacks」は大量の紙幣の束。「max」は最大限に楽しむ(maxin'と同語源)。「phat tracks」の「phat」はfatと同音異義のスラング表記。

Exchangin' facts about impacts, 'cause in facts
My freestyle talent overpowers, brothers can't hack it

インパクトについて事実を交換する——事実として
俺のフリースタイルの才能は圧倒的で、兄弟たちには扱えない

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「exchangin' facts」は互いの知識・技術を認め合う。「can't hack it」は「対応できない、歯が立たない」——コンピュータ用語のhackをスラング化。Opioのフリースタイルへの自信の表明。

They lack wit, we got the mack s**t
'93 to infinity — kill all that wack s**t!

奴らはウィット(機知)が足りない、俺たちはマックシットを持ってる
'93から無限まで——ウワックなクソは全部終わらせろ!

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「lack wit」は機知・知性が欠けている。「mack s**t」はフロウや技術の塊(mack=最高の口説きの技)。「wack s**t」はダメなもの全般——この一行が「93 'Til Infinity」の宣言の核心。低品質なヒップホップへの否定と自分たちのクオリティへの誇り。

Verse 9 — Phesto

I be coolin', school's in session, but I'm fresh in
Rappin', so I take time off to never rhyme soft

俺はクールにしてる、授業中だが俺はフレッシュに登場
ラップしてるから、ソフトにライムしないために休みを取る

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「coolin'」はcooling(クールにしている)。「school's in session」は授業中——しかし「I'm fresh in」でその場でも際立っている。「never rhyme soft」はソフトなラップはしないという宣言。

I'm off on my own s**t with my own clique
Roll many back-roads with a fat stoge and blunts, foldin' runts

俺は自分のクリックと自分のやり方でやってる
太いジョイントとブラントで裏道を走り、小者を折りたたむ

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「clique」は仲間グループ。「back-roads」は裏道——主流から外れたルート(オルタナティヴなHHスタンスとも読める)。「foldin' runts」は弱者・小物を圧倒する。

Holdin' stunts captive with my persona
n***as is testin' my patience, but I stay fresh and

自分のペルソナで奴らを虜にする
やつらは俺の忍耐を試すが、俺はフレッシュに留まる

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「stunts」はここでは行為・動き(アクロバット的な技)。「holdin' captive」は虜にする、惹きつける。「stay fresh」——何があってもフレッシュであり続けるのがSouls of Mischiefの信念。次のVerseにかかるクリフハンガー的な終わり方。

Verse 10 — Tajai

Restin' at the mall, attendants all annoyed
But I am shoppin' for my wish to exploit

モールでくつろいでる、店員たちは全員うんざり(どけよ!)
でも俺はやりたいことのために買い物してる

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「attendants all annoyed」——若い黒人男性がモールをぶらついているだけで店員に警戒される、当時の現実的な人種差別的体験。しかしTajaiは「I'm shoppin'(俺は買い物中だ)」と冷静に正当性を主張。

Some few fits, some new kicks
I often do this, 'cause it's the pits not bein' dipped

数着のコーディネート、新しいスニーカー
これをよくやる——ドレスアップしてないのは最悪だから

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「fits」はコーディネート(outfit)。「kicks」はスニーカー。「the pits」は最悪の状態。「dipped」はおしゃれにキメた状態——dipped(浸した)から来る「よく着飾った」のスラング。

Verse 11 — Opio

Flipped! The flyer attire females desire
Baby, you can step to this if you admire

やばい!女が欲しがるイケてる服装
ベイビー、気に入ったなら近づいてきていいよ

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「flipped」は「やばい!」という感嘆詞的使用(文字通り「ひっくり返った」)。「flyer attire」はよりイケてる服(fly+比較級er)。「step to this」は近づく、アプローチする。

The extraordinary dapper rapper
Keep tabs on your main squeeze before I tap her

特別にエレガントなラッパー
俺が手を出す前に、お前の彼女を見張っておけ

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「dapper」はエレガント、小粋な(ジャズ・ソウル時代の語彙をHHに持ち込む)。「main squeeze」は恋人・彼女のスラング。「keep tabs on」は注意して見守る——ユーモラスな挑発。

Verse 12 — A-Plus

I mack her, attack her with the smoothness
I do this, peepin' what my crew gets

俺は彼女をマックする、スムーズさで攻める
これをやってる——クルーが何を手に入れるかチェックしながら

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「mack」は口説く、スムーズにアプローチする。「peepin'」は観察する、目で確認する——クルー全体の動きを把握しながら行動するというチームワーク。

Loot, props, respect and blunts to pass
Crews talk s**t, but in my face, they kiss my ass

金、プロップス、リスペクト、そして回し飲みするブラント
クルーはクソをしゃべるが、俺の前では媚を売る

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「loot, props, respect」——Souls of Mischiefが求めるものの定義。金銭的成功、評判、尊重。「talk s**t」は悪口を言う。「kiss my ass」は媚を売る——陰で悪口を言うが直接会うと態度が変わる偽物への批判。

They bite flows, but we make up new ones
If you're really dope, why ain't you signed yet?

奴らはフロウをパクるが、俺たちは新しいのを作る
本当にヤバいなら、なんでまだ契約してないんだ?

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「bite flows」はラップのスタイル・技術を盗む(bite=かじる、パクる)。「why ain't you signed yet」——Jive Recordsとメジャー契約しているSouls of Mischiefとして、競合他者への挑発。業界の現実を一行に凝縮。

But I get my loot from Jive/Zomba, I'ma bomb ya
You will see, from now to infinity

俺はJive/Zombaから金をもらってる——お前を爆撃してやる
見ててくれ、今から無限まで

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「Jive/Zomba」はレーベルとその親会社(Zomba Records)。メジャー契約という事実を誇らしげに宣言。「I'ma bomb ya」は圧倒的なパフォーマンスで相手を吹き飛ばす比喩。「from now to infinity」——コーラスの「'93 'til infinity」に戻る完璧な着地。

■文化背景:1993年のオークランドとチルの哲学

暴力の時代の「セーフ・スペース」
1992〜93年のオークランドは年間175件の殺人が発生し、クラック・コカインの蔓延とカージャック、警察による嫌がらせが日常化していた。しかしSouls of Mischiefは、その過酷な環境に育ちながらも、銃やドラッグを売ることではなく「ヒップホップを防御メカニズムとして利用」した。浮遊するビートと平和的なリリックは、暴力に支配された路上に精神的な避難所を建設する試みだった。

Billy Cobham「Heather」とSP-1200の物理的制約
プロデューサーA-PlusはDJ Premierの「Here Today, Gone Tomorrow」を通じてBilly Cobhamの名を知り、オークランドのバーゲンビンで『Crosswinds』(1974年)を発掘。収録曲「Heather」のMichael Breckerによる幽玄なサックスを核にした。しかしSP-1200の制約(最大10秒のサンプリング時間)を克服するため、33回転のレコードを45回転で録り込んでピッチダウンする「MacGyver的トリック」を使用。この処理が元音源の解像度を落とし、独特の気怠くも幻想的なチルサウンドを生み出した。

「91 'Til Infinity」からの誕生秘話
この曲の原型は1991年に高校生のA-Plusが「91 'til Infinity」として制作。当初はPep Love(Hieroglyphicsクルーのメンバー)に無償提供していたが、1992年にJive Recordsとのメジャー契約が決まった際、他のメンバーが「こんないいビートを他人にあげるなんてあり得ない」と猛反発。ビートを取り返し、年号を更新して「93 'Til Infinity」として再構築。アルバム全体を9〜12日間という驚異的な短期間で録音した。

Hieroglyphicsクルーとオークランドのオルタナティヴ
Souls of MischiefはDel tha Funky Homosapien率いるHieroglyphicsクルーのサブグループ。Gファンクとギャングスタ・ラップが席巻する西海岸シーンで、East Coast的なサンプリング美学と知的なリリックを融合させ、「知性とチルの共存」というオルタナティヴなスタイルを提示した。

■レガシーと影響

「93 'Til Infinity」はリリースから30年以上を経た今も、ゴールデンエラ・ヒップホップの最重要クラシックとして語り継がれる。Kendrick LamarはSouls of Mischiefをオークランド/Bay Areaの「チル」な知性派HHの先駆者として尊敬を示し、Chance the RapperやJ. Coleなど後続世代のラッパーたちに至るまで、マイクリレー形式とジャズサンプリングの手法は広く継承されている。

楽曲はTV・映画での使用も多く、その浮遊感あるビートは時代を超えたBGMとして親しまれている。またBilly Cobham「Heather」のサンプリング使用は、ジャズドラマーの楽曲が再評価されるきっかけともなった。

日本では、アンダーグラウンドHIPHOPシーンや「チル系」ヒップホップの文脈で長く愛聴される。オークランドというBay Areaの地理的・文化的背景が、I Got 5 On It(Luniz)などと並んで「Bay Area独自のバイブ」として日本のリスナーに認知されており、レコードコレクターの間でもオリジナル盤の評価が高い。

アーティストについて

Souls of Mischief

Oakland, California · 1991–

A-Plus、Opio、Phesto、Tajaiからなるオークランド出身の4人組。Hieroglyphicsクルーのサブグループ。1993年デビュー作「93 'til Infinity」でビリー・コブハムのジャズをサンプリングした浮遊感あるビートと知的なマイクリレーを提示し、Gファンクとギャングスタラップが席巻するシーンにオルタナティヴな風を吹き込んだ。年間175件の殺人が発生するオークランドで「チル」を歌うことで、暴力の時代の精神的避難所となる音楽を作り上げた。

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