Slang Dictionary
paper
ペイパー
まず結論
paper はヒップホップでは「お金」、とくに紙幣や稼ぎを指します。
get paper(稼ぐ)、chase paper(金を追いかける)という形で使われることが多いです。
ラッパーにとって紙は歌詞を書くノートでもあるので、「書く紙」と「稼ぐ紙」を重ねた言葉遊びがよく出てきます。
動詞とのセットで覚える
paper 単独より、組み合わせる動詞で覚えると歌詞が読みやすくなります。
get paper、make paper は「稼ぐ」、stack paper は「金を積み上げる、貯める」です。
chase paper は「金を追い求める」で、上昇志向とも、金に振り回される姿とも取れる言い方です。
my paper と所有格を付ければ「おれの稼ぎ」「おれの資産」くらいの意味になります。
紙の paper との見分け方
pen、write、ink、page が近くにあれば、まずは書くための紙です。
get、stack、chase、money に関わる動詞と一緒なら、お金の paper と見てよさそうです。
ただし、ペンと紙で稼いできた、という話はラッパーの自己紹介そのものなので、両方の意味を一度に背負っている行も少なくありません。
paper に込められた温度
paper には、汗をかいて手に入れた現金という生々しさがあります。dough や bread よりも少し硬質で、ストリートの商売の匂いが強い言い方です。
その一方で、「紙切れ」にすぎないという冷めた視点が混じることもあり、お金への執着と距離感を一語で表せるのが面白いところです。
語源と背景
paper はラテン語の papyrus(パピルス)を経て英語に入った語で、本来はもちろん紙のことです。
紙幣を paper と呼ぶ言い方は古くからあり、Wiktionary も「お金」の意味を slang として載せています。
ヒップホップで get paper という形が定番になったのがいつ頃かを示す確かな資料は見つかりませんでした。1990年代のニューヨークの歌詞ではすでに日常的に使われています。
ラッパーにとってはペンと紙が商売道具でもあるため、paper という語そのものに「書くこと」と「稼ぐこと」の両方が自然に乗っています。
例文
例文は意味と使い方を示すための解説用の作例で、実際の歌詞の引用ではありません。歌詞の引用は「曲での使われ方」に載せています。
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1.We out here trying to get this paper.
おれたちはここで稼ごうとしてるんだ。
this paper と言うと「目の前の稼ぎ」というニュアンスが出ます。
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2.She's been stacking paper for two years to open her shop.
彼女は店を開くために2年間お金を貯めてきた。
stack paper は「お金を貯める、積み上げる」。
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3.Don't let the paper change who you are.
金のせいで自分を見失うなよ。
成功したあとの変化を戒める、歌詞にもよくある言い回しです。
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4.He signed the paper without reading it.
彼はその書類を読まずにサインした。
こちらは書類の意味。sign があればお金の意味ではありません。
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5.That's long paper for a first show.
初ライブにしてはかなりのギャラだな。
long paper で「大金」。long money と同じ発想の言い方です。
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6.All he cares about is the paper chase.
あいつは金を追いかけることしか頭にない。
paper chase は「金集めの競争」。少し批判的に使われることが多いです。
この曲ではこう使われていた
解析に使ったヒップホップ約440曲の歌詞のうち、paper を含む曲は40曲で、16人中14人のラッパーに出てきました。Nas や Ghostface Killah の曲に特に多く出てきます。出現数の多い順に並べると、内訳はNas 7曲、Ghostface Killah 6曲、Aesop Rock 4曲、GZA 4曲、J. Cole 3曲です。
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Ghostface Killah 「9 Milli Bros.」
"Let's get this paper together"
一緒に稼ごうぜ、という呼びかけです。get paper の基本形に together が付いて、仲間で組む稼業の話になっています。
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Nas 「Patience (Sabali)」
"Trying to get paper"
稼ごうとしている、という短いフレーズです。get paper が単独でもそのまま「稼ぐ」として機能していることがよく分かります。
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Nas 「EPMD 2」
"my paper's so crazy"
おれの稼ぎがとんでもない、という豪快な自慢で、このあと大金を窓から放り投げる誇張へ続きます。所有格の my paper で資産全体を指す例です。
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Nas 「Hate Me Now」
"watchin' my paper"
周りの連中がおれの稼ぎを見張っている、という被害妄想まじりの自慢です。成功するとまず金を見られる、という感覚が出ています。
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Nas 「One Time 4 Your Mind」
"My pen rides the paper"
こちらは書くための紙です。ペンが紙の上を走る様子をクルマにたとえていて、お金の意味ではありません。同じ Nas の中で両方の paper が見られます。
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Rakim 「Paid In Full」
"A pen and a paper"
ペンと紙と、ステレオとテープ。ラッパーの道具一式として並ぶ paper です。曲名の Paid in Full(全額支払い済み)と並べると、紙と稼ぎがつながって見えてきます。
似た表現との違い
- dough金
- 19世紀からある古い口語で、軽くユーモラスな響き。paper のほうが現金の手触りと稼業の匂いが強いです。
- cabbage金
- 紙幣の緑色をキャベツに見立てた言い方。paper より遊びの度合いが大きい語です。
- knots札束
- 丸めて輪ゴムで留めた札束のこと。paper がお金全般なら、knots は手元の現金の塊です。
- chips金
- カジノのチップから来た言い方。稼ぎを賭け金のように扱う感覚があります。
使うときの注意
- paper は数えられない名詞として「お金」の意味になります。a paper だと「新聞」や「論文」の意味に寄ります。
- 書類、新聞、レポートなど、paper の一般的な意味はとても多いので、お金の意味に決め打ちしないほうが安全です。
- paper chase は、文脈によっては「書類仕事に追われること」を指す場合もあります。
よくある質問
- paper と money の違いは何ですか。
- 意味はほぼ同じですが、paper は砕けた口語で、現金や稼ぎの生々しさが出ます。改まった場では money を使います。
- get paper はどう訳せばいいですか。
- 「稼ぐ」「金をつかむ」が自然です。文脈によっては「ひと儲けする」くらいの勢いで訳すと雰囲気が出ます。
- paper plate はお金と関係ありますか。
- 普通は紙皿のことです。ただ、GZA の曲名『Paper Plate』のように、タイトルや歌詞で意味を重ねて遊ぶ例もあります。
- paper は最近の言い方ですか。
- 紙幣を paper と呼ぶこと自体は古くからあります。ヒップホップでは1990年代以降、特によく聞く言い方です。