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Sound of da Police 和訳・意味・スラング解説 | KRS-One

アーティスト
KRS-One
リリース年
1993
プロデューサー
Showbiz
収録アルバム
Return of the Boom Bap
エリア
NY
BPM
95

この記事の見どころ

  1. 01 "overseer" → "officer"——400年続く支配構造の語源的暴露
  2. 02 "There could never really be justice on stolen land"——植民地主義批判
  3. 03 KRS-Oneが「ティーチャー」として提示した歴史的コンシャスHHの教科書
解説

■この曲の意味(要約)

「ウーウー」というサイレン音がそのまま「獣の音」だと宣言するKRS-One。警察(police)と奴隷農園の監督(overseer)が同じ語源・同じ機能を持つことを歴史的に論証し、制度的人種差別の連続性を告発する。1993年、ブーンバップの時代に放たれたコンシャスHIPHOPの頂点。

■概要

1993年ソロデビュー作『Return of the Boom Bap』の第2シングル。ShowbizプロデュースのシンプルなブーンバップビートにKRS-Oneが「教師」として語りかけるスタイル。曲頭の「Woop woop(ウープウープ)」はパトカーのサイレン音を口真似したもの。Boogie Down Productions(BDP)時代から続くKRS-Oneの反暴力・教育ヒップホップ哲学の集大成。

■主なスラング・キーワード

overseer
奴隷農園の監督者。奴隷たちを馬で見回り、逃げれば捕まえ、抵抗すれば殺す権限を持っていた。
officer
警察官。KRS-Oneは「overseer」を素早く繰り返すと「officer」に聞こえることを指摘し、両者の機能的連続性を主張する。
beast
獣——警察のスラング(特に五感を持たず機械的に権力を行使する存在として)。
boom-bap
ドラムの「ブーン(バスドラ)」と「バップ(スネア)」から成るNY東海岸HIPHOPの基本リズム。
likkle / dem / nyah
ジャマイカン・パトワ語。KRS-Oneはトリニダード・トバゴ系でパトワを多用する。little / them / not の意。
wicked overseer
邪悪な監督者——奴隷制時代の監督者への批判が警察批判と重なる最重要フレーズ。

■歌詞和訳・解説

Chorus

(Woop, woop) That's the sound of the police
(Woop, woop) That's the sound of the beast

ウープウープ——それが警察の音
ウープウープ——それが獣の音

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パトカーのサイレンを模倣した「Woop woop」で始まるフック。police(警察)とbeast(獣)を完全に等号で結ぶ。police=beast(獣)という宣言がすべてのメッセージを圧縮する。

Verse 1

Stand clear! Don man'll talk
You can't stand where I stand, you can't walk where I walk

どけ!ボスが話す
俺の立つ場所には立てない、俺の歩く道は歩けない

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"Don man"はジャマイカン・スラングでボス・親分。冒頭から権威者としての立場を宣言する。

Watch out! We run New York
Policeman come, we bust him out the park

気をつけろ!俺たちがニューヨークを支配する
警察が来たら、公園から追い出す

I know this for a fact, you don't like how I act
You claim I'm sellin' crack, but you be doin' that

これは事実、お前は俺の行動が嫌いだ
お前は俺がクラックを売っていると言うが、やってるのはお前だ

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警察が麻薬密売の共犯者・黙認者であるという告発。1990年代のNYPD汚職スキャンダル(Dirty Thirty事件など)を背景に持つ。

I'd rather say "see ya," 'cause I would never be ya
Be an officer? You wicked overseer

「じゃあな」と言うほうがまし、なぜなら俺はお前には絶対なれないから
警察官になる?お前は邪悪な農園監督だ

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"wicked overseer"——本曲の核心。officer(警察官)をoverseer(奴隷農園監督)と同一視する。この等号がVerse 2で歴史的に展開される。

There could never really be justice on stolen land

盗まれた土地の上に本当の正義など存在できない

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アメリカという国家そのものの正統性への問い。植民地主義・先住民族の土地収奪の上に成立した法秩序を根本から否定する行。

Are you really for peace and equality?
Or when my car is hooked up, you know you wanna follow me
Your laws are minimal
'Cause you won't even think about lookin' at the real criminal
This has got to cease!
'Cause we be gettin' hyped to the sound of the police

お前は本当に平和と平等のためにいるのか?
それとも俺の車がかっこよければ追跡したいだけか
お前の法律はわずかなものだ
本物の犯罪者を見ようとすら思わないから
これは止めなければならない!
俺たちは警察の音に興奮させられてしまっているから

Verse 2

Now, here's a likkle truth, open up your eye
While you're checkin' out the boom-bap, check the exercise
Take the word 'overseer' like a sample
Repeat it very quickly in a crew, for example
"Overseer," "overseer," "overseer," "overseer"
"Officer," "officer," "officer," "officer"
Yeah, 'officer' from 'overseer'
You need a little clarity? Check the similarity!

少し真実を話そう、目を開けろ
ブーンバップを聴きながら、このエクササイズを確認してくれ
「overseer(監督)」という言葉をサンプルのように使え
クルーで素早く繰り返してみろ、例えば——
「オーバーシーア、オーバーシーア、オーバーシーア」
「オフィサー、オフィサー、オフィサー」
そう、「officer(警察官)」は「overseer(農園監督)」から来た
もっとはっきりさせたいか?この類似点を見てみろ!

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本曲最重要の「語源的証明」パート。KRS-Oneは"overseer"を速く繰り返すと"officer"に聞こえることをリスナーに実演させる。語源学的には厳密ではないが、両者の機能的同一性を音響的に示す詩的・政治的手法。

The overseer rode around the plantation
The officer is off, patrollin' all the nation
The overseer could stop you, "What you're doin'?"
The officer will pull you over, just when he's pursuin'

農園監督は農園を馬で見回った
警察官は出勤して国中をパトロールする
農園監督はお前を止めて「何をしている?」と言えた
警察官はお前を追いかけて止めることができる

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並行構造で2つの制度を比較。どちらも黒人の自由な移動を監視・制限し、停車・尋問の権限を持つ。歴史的な継続性を具体的行動パターンで示す。

The overseer had the right to get ill
And if you fought back, the overseer had the right to kill
The officer has the right to arrest
And if you fight back, they put a hole in your chest

農園監督は暴力を振るう権限があった
抵抗すれば、農園監督には殺す権限があった
警察官には逮捕する権限がある
抵抗すれば、胸に穴を開けられる

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奴隷制の暴力と現代警察暴力の構造的同一性を対句で示す。get ill(暴れる権限)→arrest(逮捕権限)。kill(殺す権限)→"put a hole in your chest"(射殺)。

(Woop!) They both ride horses
After four hundred years, I've got no choices!

どちらも馬に乗る——
400年後も、俺には選択肢がない!

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"they both ride horses"——農園監督は文字通り馬に乗り、騎馬警官(NYPD Mounted Unit)も馬に乗る。"400 years"は奴隷貿易開始(1619年)からの年月の概算。

The police, dem have a likkle gun
So when I'm on the streets, I walk around with a bigger one
(Woop! Woop!) I hear it all day
Just so they can run the light and be upon their way

警察は小さな銃を持っている
だからストリートにいるとき、俺はもっと大きいのを持って歩く
一日中あのサイレンが聴こえる
信号を無視して通り過ぎるためだけに

Verse 3

Check out the message in a rough stylee
The real criminal are the C-O-P
You check for undercover and the one D.T.
But just a mere Black man, dem wan check me

ラフなスタイルでメッセージを聴いてくれ
本物の犯罪者はC-O-P(警察)だ
潜入捜査員や刑事を取り締まるが
ただの黒人男性である俺を調べたがる

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"C-O-P"とアルファベットで言うことで、直接的に言わずに済む韻の技法。D.T.はDetective(刑事)の略。本物の犯罪者は警察だという逆転の主張。

Dem check out me car, for it shine like the sun
But dem jealous or dem vexed 'cause dem can't afford one
Black people still slaves up to today
But the Black police officer nyah see it that way

俺の車を調べる、太陽のように輝いているから
でも嫉妬するか怒っている、自分は買えないから
黒人は今日もまだ奴隷だ
でも黒人警察官はそう見ていない

Him want a salary, him want it
So he put on a badge and kill people for it
My grandfather had to deal with the cops
My great-grandfather dealt with the cops
My great-grandfather had to deal with the cops
And then my great-great-great-great— when it's gonna stop?!

給料が欲しい、それだけだ
だからバッジをつけて、そのために人を殺す
俺の祖父は警察に対処しなければならなかった
曾祖父も警察に対処した
高祖父も警察に対処しなければならなかった
そして玄祖父の……いつになったら止まるのか?!

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世代を遡って「when it's gonna stop?!」で爆発する構成——祖父、曾祖父、高祖父と世代を重ねるにつれ「警察」が「農園監督」に変わっていく。Verse 1・2の歴史論証がここで感情的頂点に達する。

Break

Yes, indeed
Yes, indeed

そうだ、まさに

アーティストについて

KRS-One

South Bronx, New York · 1986–

本名Lawrence Krisna Parker。"Knowledge Reigns Supreme Over Nearly Everyone"の略。Boogie Down Productionsのフロントマンとして1987年にデビュー。ヒップホップをシンプルな音楽ではなく哲学・文化・生き方として定義した「ティーチャー」的存在。1993年「Sound of da Police」でoverseer(農園監督)とofficer(警察官)の語源的連鎖を暴き、制度的人種差別を鋭く批判した。