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Passin' Me By — The Pharcyde スラング・英語解説

Passin' Me Byに出てくるスラングや言い回しの意味を、和訳つきで一つずつ読み解きます。

アーティスト
The Pharcyde
リリース年
1992
プロデューサー
J-Swift
収録アルバム
Bizarre Ride II the Pharcyde
エリア
LA
BPM
87
サンプル元
Quincy Jones "Summer in the City" (1973) ほか

この記事の見どころ

  1. 01 4人のMCが、それぞれの片思いを順番に語る、ユーモアのある恋愛ラップ
  2. 02 play it by ear、get the picture、apple of my eye、fly the coop。日常で使える慣用句がいくつも出てくる
  3. 03 Love Me Tender と Return to Sender。エルヴィスの曲名を使った手紙のオチ

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解説

■この曲で何を学べるか

「She keeps on passin' me by」。何度も繰り返されるこの一行が、タイトルにもなっている、片思いの歌です。

ロサンゼルスのグループThe Pharcydeが、1992年のデビュー作『Bizarre Ride II the Pharcyde』に収めました。

4人のメンバーが、それぞれの片思いのエピソードを順番に語ります。小学校の先生、幼なじみ、スターのような存在、手紙を送った相手。

恋の悩みを、笑いを交えながら話すスタイルが、この曲の魅力だと思っています。

英語学習として見ると、恋愛まわりの慣用句と、昔話を語るときの時制が、ひと通り学べます。難しい単語は少なく、会話にそのまま使える表現が多い曲です。

■「passing me by」の二つの意味

pass someone by は、「通り過ぎる」という意味です。ここでは、恋の相手が、自分のことを意識せずに、通り過ぎてしまうことを表します。

もうひとつ、let her pass(彼女を通す)という言い方も、バースの最後に出てきます。こちらは、自分が、あえて声をかけずに見送るという意味です。

同じ動詞でも、相手が通り過ぎる場合と、自分が見送る場合の、両方が語られています。この二重の意味が、曲のせつなさを作っています。

ストーリーの流れ(まず曲全体をつかむ)

4つのバースは、それぞれ別のメンバーが、別の片思いを語ります。誰がどんな話をしているかを先に押さえます。

Verse 1はBootie Brown。子どもの頃、年上の先生に憧れた思い出です。

リンゴを持っていき、質問ばかりして、先生の気を引こうとします。

Verse 2はSlimkid3。昔から知っている幼なじみのShellyに、うまく気持ちを伝えられない話です。

Verse 3はImani。スターのような存在の女性に憧れましたが、すでに恋人がいました。

自分の振る舞いを、少しおかしく語ります。

Verse 4はFatlip。遠くから想い続けて、ついに手紙を書きます。

ところが、その手紙は、返送されてきます。

合間に入るコーラスでは、「何度でも言うけど、彼女は通り過ぎていく」と、同じ一行が繰り返されます。

※本ページは批評・教育目的で、解説に必要な範囲の断片のみを引用しています。全歌詞の対訳は掲載していません。

学ぶ表現(スラング・韻・言葉遊び・AAVE)

ここでは、歌詞の中の表現を1つずつ取り上げます。上に短い用例、下に意味と使い方を置いています。

固有名詞や、背景の説明が中心のところは、引用を省いています。▶を押すと、PVの該当箇所から再生できます。

in my younger days, I used to sport a shag 昔語りの型

★ 時制/語彙
Bootie Brown(Verse 1) 0:24

Now, in my younger days, I used to sport a shag

さて、若い頃の俺は、シャグカットの髪型をしていた

▶ Verse 1の1行目。昔の話を始める型が出てきます。

in my younger days は、「若い頃は」という、昔語りの定番の入り口です。in my day という形もあります。

used to + 動詞 は、「かつては〜していた」。今は違う、という含みを持つ表現です。

この曲では、昔話の間ずっと、この形が使われます。

sport は、ここでは「身につける、見せびらかす」という動詞です。sport a beard(ひげを生やしている)のように、外見の話でよく使います。

shag は、段を付けた、ざっくりした髪型のこと。当時の流行りを、さらっと名詞で出しています。

語法 — どう使うか ▼

in my younger days / back in the day: 昔を振り返る決まり文句。In my younger days, I loved to travel.

sport は、She was sporting a new haircut.(彼女は新しい髪型をしていた)のように、見た目を話すときの動詞です。

an apple for my teacher / in session 学校の語彙

★ 慣用句/語彙
Bootie Brown(Verse 1) 0:30

With a apple for my teacher 'cause I knew I'd get a kiss
But when it was in session, I always had a question

先生にリンゴを持っていく、キスがもらえると思ったから。授業中は、いつも質問があった

▶ 年上の先生への片思い。学校の言い回しが並びます。

an apple for the teacher は、アメリカで、生徒が先生にリンゴを贈る習慣から来た決まり文句です。先生の機嫌を取るための贈り物、という意味でも使います。

in session は、「授業中、開会中」。前の行の class was dismissed(授業が終わった)と対になっています。

knew I'd get a kiss の I'd は、I would。過去のことを語るなかで、「そのときの未来」を表す、時制の一致の形です。

session と question が、行末で韻を踏んでいます。学校の語彙に、きれいな音をそろえた2行です。

語法 — どう使うか ▼

in session / out of session: The court is in session.(法廷は開廷中だ)。学校、議会、裁判で使います。

I knew I would 〜 のように、過去の時点での未来を、would で表します。

Just a trick to smell her scent and try to sneak a touch

★ 句動詞/語法
Bootie Brown(Verse 1) 0:43

I would raise my hand, to make her stand, come to my desk, and
Help me with my problem, it was never much

手を挙げて、先生を立たせて、俺の机まで来させて、問題を手伝ってもらう。大した問題じゃなかった

▶ 質問の理由は、本当は別にあった、という場面です。

I would raise my hand の would は、「(よく)〜したものだ」という、過去の習慣を表す用法です。used to と似ていますが、動作の繰り返しに使います。

make her stand は、使役の形。make + 人 + 動詞の原形 で、「人に〜させる」です。

it was never much は、「大したことはなかった」。much を名詞のように使って、問題の大きさを打ち消しています。

次の行の sneak a touch は、「こっそり触れる」。sneak a look(こっそり見る)と同じ型です。

ここでは、先生に、こっそり近づく言い訳として、質問をしていた、という笑いです。

語法 — どう使うか ▼

sneak a + 名詞: sneak a peek(ちらっとのぞく)、sneak a bite(こっそり一口食べる)。

would の習慣用法: Every summer, we would go to the beach.(毎年夏には、海に行ったものだ)。

I was on her jock, yes, indeedy スラング

★ スラング/口語
Bootie Brown(Verse 1) 0:51

I was on her jock, yes, indeedy, I wrote graffiti on the bus

俺は彼女に夢中だった、そう、まさにね。バスに落書きまで書いた

▶ Verse 1の後半。ラップらしいスラングが出てきます。

on someone's jock は、スラングで、「誰かを熱心に追いかける、まとわりつく」という意味です。もともとは、スポーツ選手のファンに使われた言い方と説明されます。

yes, indeedy は、yes, indeed を、ふざけて崩した言い方です。語尾を伸ばして、軽い冗談の調子を出しています。

graffiti on the bus は、バスに落書きをすること。恋心を、落書きという行動に変えるのが、この年頃の少年らしい描写です。

続く行の write her name, then carve a plus と合わせて、名前の落書きの描写に入っていきます。

語法 — どう使うか ▼

on someone's jock: 近い意味で、ride someone's coattails(人の威光に乗る)という言い方もあります。ここでは、好意でまとわりつく意味です。

indeed は、Yes, indeed.(まったくその通り)の形で、強い同意を表します。

I seen her yesterday, but still, I had to let her pass 二重の意味

★ AAVE/言葉遊び
Bootie Brown(Verse 1) 1:05

I seen her yesterday, but still, I had to let her pass

昨日、彼女を見かけた。それでも、通り過ぎるのを見送るしかなかった

▶ Verse 1の締め。タイトルとつながる一行です。

I seen her の seen は、標準では saw(過去形)ですが、AAVEや口語では、過去分詞の形がそのまま過去を表すことがあります。

let her pass は、「通るのを許す、見送る」。ここでは、声をかけずに、そのまま行かせてしまったという意味です。

タイトルの passin' me by は、「相手が自分を通り過ぎる」でした。ここでは、let her pass と、自分が見送る側として、同じ動詞を使っています。

but still は、「それでも」。思い切ってしまいたい気持ちを、ここで打ち消して、結局何もできなかった、という流れを作っています。

語法 — どう使うか ▼

I seen it のように、過去を seen で表すのは、AAVEや南部の英語でよく見られる特徴です。

let + 人 + 動詞の原形: Let him go.(行かせてやれ)。許可や、あえて見送る場面に使います。

She keeps on passin' me by! 繰り返しの表現

★ フック/構文
Fatlip & Slimkid3(Chorus) 1:12

She keeps on passin' me by!

彼女は、何度も俺を通り過ぎていく

▶ 曲の中心になるフック。動詞の使い方に注目です。

keep on + 動詞ing は、「〜し続ける」。同じ動作が、止まらずに繰り返される様子を表します。

pass 〜 by は、「〜の横を通り過ぎる」。人にも、チャンスにも、pass by を使って、「気づかれずに通り過ぎる」という意味になります。

コーラスの終わりで、She keeps on pass... と、あえて文を途切れさせて、続けて別の声が入ります。途切れる形そのものが、「通り過ぎていく」感じを作っています。

合いの手の But nevertheless, I'll say it again は、「それでも、何度でも言う」という意味です。諦めきれない、という気持ちが、そのまま言葉になっています。

語法 — どう使うか ▼

keep on + 動詞ing: She kept on talking.(彼女は話し続けた)。keep + 動詞ing より、強調の響きがあります。

nevertheless は、「それにもかかわらず」。やや硬い語ですが、冗談の調子でも使えます。

quit chasin' / makes me a go-getter 動名詞と複合語

★ 語法/慣用句
Slimkid3(Verse 2) 1:37

That I should quit chasin' and look for something better
But the smile that she shows makes me a go-getter

追いかけるのはやめて、もっといい人を探せと言われる。でも、彼女の笑顔を見ると、やる気が出てくる

▶ 周りの助言と、本人の気持ちのギャップを描く2行です。

quit + 動詞ing は、「〜するのをやめる」。stop + 動詞ing と、ほぼ同じ意味ですが、より口語的な言い方です。

look for something better は、「もっといいものを探す」。something + 形容詞 の語順に注目です。

something better のように、形容詞が後ろに付きます。

go-getter は、「やり手、積極的な人」。go と get をつなげた、複合語です。

人を元気づけるような、ほめ言葉として使われます。

makes me a go-getter は、make + 人 + 名詞 で、「人を〜にする」。笑顔が、自分を積極的にさせるという、素直な気持ちが出ています。

語法 — どう使うか ▼

something / anything + 形容詞: something new、anything interesting。形容詞を後ろに置く、英語の決まりです。

go-getter: She's a real go-getter.(彼女は、本当にやり手だ)。仕事や就職の場面で、よく使います。

play love by the ear and hope she gets the picture

★ 慣用句
Slimkid3(Verse 2) 1:44

I just play love by the ear and hope she gets the picture

俺はただ、成り行きで恋をして、彼女が気づいてくれるのを願っている

▶ 音楽の言い回しと、「分かる」の言い回しが、一行に入っています。

play it by ear は、もともとは楽譜を見ずに、耳で聴いたまま演奏することです。そこから、「臨機応変に、成り行きに任せてやる」という意味になりました。

ここでは、play love by the ear と、it の代わりに、love を入れています。恋愛を、計画せずに、その場の流れでやっていく、という意味です。

get the picture は、「状況を理解する、察する」という、定番の言い回しです。Do you get the picture?(分かった?)のように使います。

音楽の比喩(play by ear)と、視覚の比喩(get the picture)が、同じ行の中に並んでいる、感覚の組み合わせも面白いところです。

語法 — どう使うか ▼

play it by ear: Let's play it by ear.(その場の様子を見て決めよう)。計画を立てないときの定番です。

get the picture: I get the picture.(状況は分かった)。get the message も、似た意味です。

highly edu-ma-cated / Not at all overrated 音節を伸ばす韻

★ 韻/語彙
Slimkid3(Verse 2) 1:58

Now she's more sophisticated, highly edu-ma-cated
Not at all overrated, I think I need a prayer

今の彼女は、もっと洗練されて、高い教養がある。決して買いかぶりじゃない。祈りが必要そうだ

▶ 韻のために、語を伸ばして発音する場面です。

edu-ma-cated は、educated を、音節の間に ma を入れて伸ばした言い方です。sophisticated、overrated と、-ated の韻をそろえるための工夫です。

sophisticated は、「洗練された、教養のある」。overrated は、「過大評価されている」。

not at all overrated で、「過大評価ではない、本当にすごい」となります。

highly は、highly educated(高い教育を受けた)のように、教育や評価の高さを強調する副詞です。

最後の I think I need a prayer は、「祈りが必要だ」。幼なじみが立派になりすぎて、自分には手が届かない、という気持ちを、冗談まじりに語っています。

語法 — どう使うか ▼

highly + 過去分詞: highly educated、highly recommended(強く勧められた)。評価を強める組み合わせです。

overrated と underrated(過小評価されている)は、音楽や映画の評判で、よく使う対義語です。

a twinkle in her eye is just a twinkle in her eye 同語反復の皮肉

★ 修辞/皮肉
Slimkid3(Verse 2) 2:06

I guess a twinkle in her eye is just a twinkle in her eye

彼女の目の輝きは、ただの目の輝きなんだろう

▶ 同じ言葉を繰り返して、あきらめを表す一行です。

a twinkle in her eye は、「目の輝き」。普通は、愛情や、いたずら心のサインとして使われる言い方です。

この行は、同じ句を、A is just A の形で繰り返しています。これは、同語反復(tautology)です。

「特別な意味はない、ただそれだけだ」という、冷めた言い方になります。

I guess が付くことで、力のない、あきらめた調子になっています。期待していた気持ちが、しぼんでいく感じです。

短くて、シンプルな文ですが、このバースで、いちばん切ない一行です。笑いのなかに、ふっと本音が混ざります。

語法 — どう使うか ▼

A is just A: A cigar is just a cigar.(葉巻はただの葉巻だ)。深読みしすぎるな、という意味の決まり文句です。

twinkle は、星や目がきらきら光る様子。Twinkle, twinkle, little star(きらきら星)でも有名です。

Sprung like a chicken, chasing my tail like a doggie

★ スラング/直喩
Imani(Verse 3) 2:18

Sprung like a chicken, chasing my tail like a doggie

完全にのぼせ上がって、犬みたいに自分の尻尾を追いかけ回している

▶ Imaniのバース。直喩がたたみかけられます。

sprung は、スラングで、「相手に夢中になって、のぼせ上がっている」という意味です。He's sprung on her. のように使います。

chase one's tail は、犬が自分の尻尾を追いかけてぐるぐる回る様子から、「空回りする、無駄に動き回る」という意味の慣用句です。

どちらも、like a 〜 の直喩で、動物にたとえています。恋に夢中になった自分を、かわいらしく、少し情けなく描いています。

chicken と doggie の2つの動物が並ぶ点にも注目です。意味よりも、語感の面白さで選んでいる印象があります。

語法 — どう使うか ▼

chase one's tail: We've been chasing our tails all day.(一日中、空回りしていた)。仕事の場面でも使えます。

sprung は、スラングで、「夢中になった」という意味の形容詞です。人にも、物にも使えます。

a nincompoop / your little birdie's gonna fly the coop

★ 慣用句/韻
Imani(Verse 3) 2:25

He was a rooty-toot, a nincompoop
She told me "Soon your little birdie's gonna fly the coop"

あいつはおバカさんで、間抜けだった。「あなたの小鳥も、もうすぐ巣から飛び立つよ」と彼女は言った

▶ 古風な悪口と、鳥の比喩が並ぶ2行です。

nincompoop は、「間抜け、ばか」という意味の、古風でユーモラスな悪口です。rooty-toot も、同じ系統の、語感で遊んだ言い方です。

fly the coop は、「逃げ出す、巣立つ」という慣用句です。coop は、鶏小屋のこと。

囲いの中の鳥が、飛び出していく様子から来ています。

rooty-toot、nincompoop、coop と、同じ響きが、行をまたいで続いています。悪口なのに、楽しい響きになるのが、この言葉遊びの効果です。

your little birdie は、ここでは、語り手自身を、小鳥に例えた言い方です。恋人が、遠くへ行ってしまう、という皮肉を、鳥の比喩で包んでいます。

語法 — どう使うか ▼

fly the coop: All the kids have flown the coop.(子どもたちはみんな巣立った)。実家を出る場面にも使います。

nincompoop のような、今は古風な悪口は、アニメや児童書で、ユーモアとして使われます。

the apple of my eye / no matter how much I try

★ 慣用句/語法
Fatlip(Verse 4) 3:09

Ever she happens to walk by, why does the apple of my eye
Overlook and disregard my feelings no matter how much I try?

彼女が通りかかるたびに、俺の大切な人は、なぜ俺の気持ちを見過ごして、無視するのか。どれだけ頑張っても

▶ Fatlipのバース。慣用句と、譲歩の表現が出てきます。

the apple of my eye は、「目に入れても痛くないほど大事な人」という慣用句です。聖書の「瞳」を意味する古い言葉に由来すると言われます。

overlook と disregard は、どちらも「見過ごす、無視する」。似た意味の動詞を並べて、「気づかれていない」ことを強調しています。

no matter how much 〜 は、「どれだけ〜しても」という、譲歩の言い方です。no matter what / who / how で、さまざまな疑問詞とセットになります。

この曲の最初のバースにも、リンゴ(an apple for my teacher)が出てきました。ここでも、apple が出てくるのは、偶然でなく、意図した繰り返しかもしれません。

語法 — どう使うか ▼

the apple of one's eye: She is the apple of her father's eye.(彼女は父親の目の中に入れても痛くない娘だ)。

no matter how + 形容詞/副詞: No matter how hard I try, I can't.(どれだけ頑張っても、できない)。

I was so low-key that she was unaware of my existence

★ スラング/構文
Fatlip(Verse 4) 3:24

And I was so low-key that she was unaware of my existence

俺は目立たなさすぎて、彼女は俺の存在にすら気づいていなかった

▶ 「so 〜 that」の構文と、low-keyの意味に注目です。

low-key は、「控えめな、目立たない」。今では、low-key を副詞のように、「なんとなく、ちょっと」という意味で使う若者言葉もありますが、ここは本来の意味です。

so 〜 that ... は、「あまりに〜なので、...だ」という、結果を表す構文です。so low-key that she was unaware で、控えめすぎた結果、気づかれなかった、となります。

be unaware of 〜 は、「〜に気づいていない」。unaware は、aware の否定形で、of を取ります。

ここでは、my existence(自分の存在)という、少し大きな言葉を使って、自分が、相手の世界に入っていなかったことを、冗談まじりに語っています。

語法 — どう使うか ▼

be aware of 〜 / be unaware of 〜: I wasn't aware of the problem.(その問題に気づいていなかった)。

low-key は、a low-key party(控えめな集まり)のように、イベントや雰囲気にも使います。

P.S. Love Me Tender / Return to Sender エルヴィスの曲名

★ 文化/言葉遊び
Fatlip(Verse 4) 3:48

P.S. Love Me Tender
But the letter came back three days later: "Return to Sender"

追伸、優しく愛して。でも手紙は3日後に戻ってきた、「差出人に返送」と

▶ 手紙のオチ。2つの曲名が使われています。

Love Me Tender と Return to Sender は、どちらもエルヴィス・プレスリーの曲名です。手紙の追伸にも、返送のスタンプにも、曲名が使われています。

P.S. は、postscript(追伸)の略。手紙の最後に、付け足しを書くときの記号です。

Return to Sender は、郵便物に押される、「差出人に返送」の意味のスタンプ。送った手紙が、受取人に届かずに戻ってきた、という結末です。

古い歌の曲名を、手紙の言い回しに仕込む遊びです。曲を知っている人には、二度おいしい、小さなオチになっています。

語法 — どう使うか ▼

P.S. (追伸): 手紙やメールの最後に、付け足しを書くときに使います。P.P.S. は、さらにその追伸です。

return to sender は、郵便の実務で使う表記です。宛先不明の郵便物に、貼られることがあります。

文化的背景

The Pharcyde とは

ロサンゼルス出身、4人のMCと1人のプロデューサー

The Pharcydeは、ロサンゼルスで結成された、4人組のヒップホップグループです。Imani、Slimkid3、Bootie Brown、Fatlipの4人がMCを務め、J-Swiftがプロデュースを担当しました。

デビューアルバム『Bizarre Ride II the Pharcyde』は1992年に出ました。ユーモアのある語り口と、サンプリングを生かしたトラックが、この作品の特徴です。

曲の位置づけ

アルバムの2枚目のシングルとして発売

「Passin' Me By」は、1993年3月18日に、アルバムの2枚目のシングルとして発売されました。

録音は1991年に、ハリウッドのスタジオで行われています。

キーワード早見表

この曲で学んだ表現の整理

used to / would(昔の習慣) かつては〜した。用法が少し違う
in session 授業中、開会中
on someone's jock (スラング)夢中でまとわりつく
keep on 〜ing 〜し続ける
go-getter やり手、積極的な人
play it by ear / get the picture 成り行きでやる/状況を理解する
sprung (スラング)夢中になってのぼせ上がった
fly the coop 巣立つ、逃げ出す
the apple of one's eye 目に入れても痛くない人
so 〜 that ... あまりに〜なので...だ

制作の裏側

プロデュースは、グループのJ-Swiftです。曲の土台には、Quincy Jonesの「Summer in the City」、Weather Reportの「125th Street Congress」、Jimi Hendrix Experienceの「Are You Experienced?」の3曲が、サンプルとして使われています。

複数の曲から、短い断片を拾って重ねるという手法は、ヒップホップのトラックメイクの基本です。ジャズ、フュージョン、ロックと、ジャンルをまたいで素材が選ばれているところが、この曲の特徴です。

曲は、1991年にハリウッドのスタジオで録音されました。デビュー前に、すでに完成していたことになります。

ここで挙げた情報は、広く公開されている資料で確認できる範囲にとどめています。

評価とその後

「Passin' Me By」は、The Pharcydeの代表曲として、今でも聴かれ続けています。

収録アルバム『Bizarre Ride II the Pharcyde』は1992年に出ています。この曲は、そのアルバムの2枚目のシングルです。

まとめ

  • 「Passin' Me By」は、4人のMCが、それぞれの片思いを語る、ユーモアとせつなさの曲です。
  • used to や would、keep on 〜ing、so 〜 that など、昔話を語るときの基本の型が、たくさん出てきます。
  • play it by ear、get the picture、apple of my eye、fly the coop、chase one's tail と、日常で使える慣用句がそろっています。
  • I seen や was の使い方など、AAVEや口語の文法が、自然な形で入っています。
  • Love Me Tender と Return to Sender のオチは、固有名詞の言葉遊びを学ぶ、よい例です。

アーティストについて

The Pharcyde

Los Angeles, California · 1991–2000, 2004–

ロサンゼルス出身のヒップホップグループ。Imani、Slimkid3、Bootie Brown、Fatlipの4人のMCと、プロデューサーのJ-Swiftで結成された。1992年のデビューアルバム『Bizarre Ride II the Pharcyde』は、ユーモアのある語り口とサンプリングを生かしたトラックで知られ、1993年のシングル「Passin' Me By」は代表曲として聴かれ続けている。

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